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世界初 両手移植の10歳の男児、奇跡の機能回復!「脳地図」も劇的に変化!

自閉症、統合失調症、認知症などと関連する脳部位の特定

 Zion君の奇跡的な回復は、移植再生医療と脳神経科学がコラボして成し遂げた大成果だ。

 脳地図は、1909年にドイツの神経科学者コルビニアン・ブロードマンが発表し、「ブロードマンの脳地図」「ブロードマン領野(Brodmann area)と呼ばれている。

 ブロードマンの脳地図は、大脳皮質の解剖学・細胞構築学的な知見に基づき、各機能の領域を脳細胞の種類によって分類したもの。

 つまり、大脳皮質の神経細胞を染色して可視化し、組織構造の違いに基づいて大脳皮質を52の領域に分類したのが、ブロードマンの脳地図だ。

 各領域の分担する機能が解明され、たとえば,運動野は4野に,視覚野は17,18,19野に,聴覚野は41,42野に,皮膚の触覚や圧覚などの体性感覚野は1,2,3野にある。

 だが、各部位の機能とその関連性の解明は不十分のため、1世紀以上にわたって研究が進められてきた。

 人体最後のフロンティア、脳地図の180の部位を特定した詳細な機能マップの研究がある。

 この研究の推進役は、ワシントン大学医学部の神経科学者マシュー・グラッサー博士が率いる脳神経科学者とコンピュータ技術者などで構成された研究チーム。2013年にオバマ大統領が発表した、脳の機能解明プロジェクトの資金援助を受けた研究だ。

 研究チームは、解剖学的な見地からではなく、コンピュータによる画像解析をメインとした手法によって大脳の深部構造を解明し、今までの脳の機能マップを大幅に刷新している。

 研究チームは、詳細にデータ化された210名の被検者の脳の働きを解析し、そのデータに基づいて脳を180の部位に分け、それぞれの形、機能、働き、つながりをより正確に解析した。

 今回の脳地図が発表されるまでに83の機能を示す地図が作られていたが、今回の脳地図は、既知の83の領域に新たに97もの新領域を加えたマップだ。

 たとえば、安静時の脳と、特定のタスク(物語を聞くなど)を処理している時の脳の活動をMRI検査と大脳皮質内の神経細胞のコネクションの抵抗値の検査を行う。次に、それぞれのタスクを処理する部位を特定し、多数の被検者のデータを総合的に解析し、新たな脳の機能地図を完成した。

 注目すべきは、今回追加された55bという領域だ。55bは、解剖学的には隣接する領域と差異のない細胞種だが、脳が言語を処理すると、活発に活動し、言語を司る領域である事実が判明。55bが働く時に、脳のどの他の部位と関連しているかも解明されている。

 グラッサー博士によれば、この脳地図は、自閉症、統合失調症、認知症、てんかんなどと関連する脳部位の特定や原因解明に恩恵をもたらすだけでなく、脳外科手術にも有益だと発言している。

 また、この脳地図はバージョン1.0なので、さらなる研究によってバージョン2.0に上がっていく可能性が高い。

 人体最後のフロンティア、脳地図。地図を片手に脳内探検の旅へ!その進化の物語は、あなたの大脳という宇宙で始まっている。

*参考:http://tocana.jp/2016/0post_10511_entry.html
2016年07月21日GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20160721-ultimate-brain-map/
http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature18933.html
http://www.nature.com/news/human-brain-mapped-in-unprecedented-detail-1.20285
https://www.humanconnectome.org/

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