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【特集「なぜ特定の<男性>は痴漢に走るのか?」第1回】

「痴漢」のピークは<朝8時半>! 東京で年に痴漢1800件~被害者9割が泣き寝入り

混雑する路線や時間帯を研究する痴漢加害者も

 それほどまでに多い痴漢犯罪の行なわれる場所は、警視庁のデータによると圧倒的に「電車内」が多い。その内訳は「電車が52.7%」「駅が19.4%」「店舗内が11.5%」「路上が8.8%」「バスが0.5%」「商業施設ビルが1.8%」「その他が5.3%」となっている。

 やはり、見知らぬ者同士が身体を密着させる電車内が主な犯行の場所となっていることが伺える。

 「痴漢が発生する時間帯として一番多いのは朝の8時半頃。9時に始業する会社に合わせて電車が一番混んでいるときです。路線によっては200%を超える場合もあります。多くの痴漢が出勤途中の車内で犯行におよび、そのまま会社に向かっています」

 「その一方、事前に綿密なリサーチをして犯行におよぶ者もいます。どの路線や時間帯が混んでいるか――早めに家を出ていつもと違う経路の車内で痴漢する人もいます。中にはあえて空いている車内でやったり、隣に座る女性を巧妙に触るケースもあります。腕を組んで寝たふりをして、脇から出した手先で触るのです」

 ちなみに、「服の上から触る」と「迷惑防止条例違反」だが「下着の中に手を入れる」と「強制わいせつ罪」になる。痴漢加害者が集まるネット上の掲示板などで研究している者たちは、その点もよく知っている。

 だが、それでもなお痴漢を繰り返すうちに、行為はエスカレートしていく。逮捕された時には、痴漢行為を毎朝繰り返すようになっていた男性も少なくない。痴漢がやめられない――実に根の深い性犯罪だ。

 なぜ、痴漢にハマるのか? 次回は痴漢加害者の深層心理に迫る。
(文=里中高志)


「痴漢」のピークは<朝8時半>! 東京で年に痴漢1800件~被害者9割が泣き寝入りの画像3

斉藤章佳(さいとう・あきよし) 
大森榎本クリニック精神保健福祉部長。アジア最大規模といわれる依存症施設「榎本クリニック」(東京都)で、精神保健福祉士・社会福祉士として、アルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・摂食障害・性依存・虐待・DV・クレプトマニアなどのアディクション問題に携わる。大学や専門学校で早期の依存症教育にも積極的に取り組んでおり、講演も含め、その活動は幅広くマスコミでも度々取り上げられている。著者に『性依存症の治療』、『性依存症のリアル』(ともに金剛出版)、その他、論文も多数。

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