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<中年太り>で脳が10歳老化! 50歳からのダイエットが認知症やアルツハイマー病を予防

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アラフィフの肥満が生む<脳格差>(shutterstock.com)

 問診時に、喫煙派から絶煙派への転向歴を語ったら、2人の違う医師から異口同音にこう言われた。

 「いいことですね、寿命が10年は変わりますよ」

 これは医者の常套句かもしれないが、言われて悪い気はしなかった。では、努力して過体重を脱した時、次のように医者から言われたら、どんな気がするだろうか?

 「いいですね、脳の老化が10年延期されますよ」

 『Neurrobiology of Aging』(オンライン版7月27日号)に掲載された最新研究の知見を読み、そんなことを思った。なんでも、標準体重(BMI:18.5以上25未満)の人に比べ、過体重(BMI:25以上30未満)や肥満(BMI:30以上)の人は、「中年期からの脳の老化」が早まっている可能性が明らかにされたという。

 英ケンブリッジ大学精神医学のLisa Ronan氏らが行った研究は、過体重が脳の「白質」にどのような影響を及ぼすかについて焦点を当てたもの。

 白質とは脳領域同士の情報伝達に重要な役割をはたす部位であり、いわば通信ケーブル(=軸索)が脂質で何層にも巻かれて白く見える箇所である。

失われる10年の<脳格差>

 近年の研究では、経験や環境の差によって白質の発達に違いが生じることもが明かされ、白質と早期学習の相関を裏づけるデータも公表されている。同時にこの白質が、加齢に応じて縮小することも知られてきた。

 そして、今回の研究で判明したのが、50歳の過体重(および肥満)の人の白質が、60歳の標準体重の人と「同程度」であるという事実だ。

 つまり、<アラフィフ>を迎えてから脳内の「失われた10年」を嘆くよりも、中年期以前から「失われる10年」を意識して、標準体重を維持すべきとの警鐘だろう。

 研究に際しては、ケンブリッジ地域で暮らす心身共に健康な男女500人(20~87歳)の協力を得て、MRI検査が実施された。被験者のうち「①標準体重層」は約半数、「②過体重層」は全体の約3割、「③肥満層」は約2割を占めていた。

 各層のMRI検査結果で脳構造を評価してみたところ、①標準体重層に比べ、②過体重層および③肥満層は「白質量が減少している」傾向が読み取れた。

 さらに年齢別の解析を進めると、中年期に当たる②過体重層および③肥満層の白質量は、「10歳年上の標準体重の人々の白質量」と同レベルであることが浮き彫りにされた。

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