「1日7時間」の睡眠と遊びがカギ
ストレス耐性には、睡眠時間も大きく影響する。
つい最近まで、精力的な人ほど睡眠時間が短い、とされてきた。元イギリス首相のサッチャー・マーガレット氏の「1日4時間しか寝ない」という発言は有名だ。しかし、彼女は日中の居眠りを、監視カメラに撮られていた。
今日では、アメリカ国立睡眠財団をはじめ各所が、26歳以上の成人は、1日7時間以上の睡眠を推奨している。
米フロリダ州立大学心理学科のカール・エリクソン教授も、睡眠を推奨しているひとりだ。学習能力、記憶力とも、睡眠と遊びに因るところが大きいという。
働き過ぎると、まず遊びが削られ、睡眠も減ることになる。そうなると、能力低下が起きる。このエリクソン教授の研究が、マッケンジー教授のいうところの「週25時間労働」の根拠だ。
エリクソン教授は研究の中で、仕事能力の高さは年齢でなく、労働時間の長さであることを、見つけた。「仕事がデキる人」は、週21〜35時間の労働で、1日3〜5時間以上は働かないことを発見したのだ。
また、研究の中で、労働時間が自由裁量の場合、「デキる人」は週21〜35時間以上は働かないという。
これらの情報を統合し、新たに研究を重ねた結果、マッケンジー教授らは、「40歳以上の週25時間労働」にたどり着いた。
昨年、英ケンブリッジ大学が選ぶ<イギリスの健康志向の会社>に選ばれた企業は、スポーツ用品会社、製薬会社、IT企業が圧倒的だった。これらの企業は、フレックスタイム制を導入し、社員が早めに帰宅したり、スポーツジムで運動できるよう配慮している。
どんなに超過労働しても、景気が上向きにならない今だからこそ、日本の企業は、<働き盛り>の中高年の働き方を、見直してみるといいだろう。
(文=編集部)
(参考)
http://www.bbc.com/capital/story/20160714-is-full-time-work-bad-for-our-brains