再燃? 自転車の“傘”問題(shutterstock.com)
メールやSNSの登場(普及)が大きいとはいえ、電車内でいきなり通話を始める人の姿は今日、ほぼ皆無だ。
しかし、同じ“迷惑”の問題でありながら、自転車利用層のマナー向上は「改正道路交通法」の施行から1年過ぎても「奏功」の二文字には遠そうだ。
同法の施行から1年(6月1日)を迎えるに先立ち、自転車関連の交通ルール遵守とマナー向上を謳う活動プロジェクト「チームキープレフト」が行なった意識調査がこの間の成果と残る課題を如実に物語っている。
同調査は、今年5月に横浜で開催されたサイクル・フェスの来場者を対象に行なわれた。自転車を所有ないしは運転する男女700名の有効回答を得て実状に迫ったものである。
結果、施行1周年を目前とした自転車利用層の「実態」が次のように浮き彫りになった。
①昨年6月の改正道交法の施行を知っている(約84%)
②同法記載の「自転車運転の危険行為14項目」を理解/ 遵守している(約36%)
③自転車保険の既加入者が約47%(今後の加入予定者を含めると約67%)
④約半数の“ヒヤリ経験者”に限ると「保険加入者+加入予定者」が約57%
つまり、8割以上が施行を知りつつも、具体的な遵守事項は4割近くが曖昧な対応ぶり。万が一の備えは半数にも及ばず、“ヒヤリ”体験を経ても4割以上は保険加入の意思が乏しいというわけだ。
依然、14%の違反予備軍が路上操行中
一方、施行前と「意識が変わらない」、自己都合優先で「守れていない」、理解不足のために「守れない」などの理由から、今後の違反リスクが濃厚とされる層が約14%も存在する。
では、実際にこの間、信号無視や一時不停止などの「危険行為」をくり返し、有料の自転車運転者講習を義務付けられた者はどのくらいいるのか。
警視庁によれば、今年4月末までに全国で24人が講習対象となり、うち11人までが大阪圏(同府警によれば、今後の講習予定が+3人)だった。大阪の場合、ブレーキなしのピスト(競技用自転車)などで一般道を走る危険行為をくり返した男女6人が講習を受けた。
こうした対象案件は、施行1年未満の全国で1万3455件にのぼる。悪質内訳の1位も、やはり全体の34.1%を占めた大阪(4594件)。次いで東京(3184件)、兵庫(1745件)と続く。