ギャンブル依存のきっかけは最初に勝ちを経験すること
さまざまな快感と依存の関係について書かれた『快感回路 なぜ気持ちいいのかなぜやめられないのか』(河出文庫、デイヴィッド・J・リンデン著、 岩坂 彰訳)によると、ギャンブルへの嗜好は最初に勝ちを経験することで身につくという説があるという。
同書によると「最初に一回か二回勝ったとすると、ギャンブル行動が正の強化を受ける。このように最初の成功体験から小さいながらもはっきりした快感を得た一部の人が、『快感の目標値』を得るためにより高い刺激を求めていく中で、ギャンブル依存を発症するリスクは高まっていく」のだという。
さらに同書によると「脳画像研究から、ギャンブルやゲームをしているときも、ある種の薬物やオーガズムと同じように、内側前脳回路が活動し、その結果VTA(腹側被蓋野)の標的領域にドーパミンが放出されることがわかっている」のだという。
そのメカニズムにひとたび陥ってしまうと、あとは薬物を摂取させられたラットが薬物が出るレバーを押し続けるように、ギャンブルをし続けられずにはいられなくなるのだ。
一度、依存状態の過剰な興奮を体験した者は、その興奮に脳が慣れてしまい、常に刺激を求めずにはいられなくなる。「節度を持って楽しむ」ことが難しいからこそ、ギャンブルの闇に引き込まれる人は後を絶たないのだ。
(文=編集部)