寄せる年の波はキーボードで防ぐ!?
良し悪しを別にすれば、PCと向き合える時間が長ければ長いほど若さの証明ともいえるのか。
使用時間の記録とMRI撮影で解析した本研究でも、PCを1日あたり1時間長く使うと「海馬の容積が0.025%大きくなる」という関連が認められたという。
PCを使ったリハビリ効果は、医学誌『Journal of Physical Therapy Science』に載った研究論文でも示唆された。これはアルツハイマー型認知症の患者35人を対象に、PCを週5回の頻度で1日あたり30分使ってリハビリに臨ませた。
具体的にはPC画面上に絵やコトバを表示し、被験者が記憶した内容(=回答)をマウス操作で応えていくというもの。約4週間に渡るこのリハビリの結果、被験者間で単語やモノを記憶する成績の向上が認められたという。
海馬の容積も比例して減少する可能性
厚生労働省の概算によれば日本人の場合、65歳以上の高齢者のおよそ7人に1人が認知症とみられている。予備軍の軽度認知障害(MCI)を含めれば4人に1人だ。日米間の事情格差は諸々あろうが、ポートランド発の研究対象が同じ「65歳以上」である点は看過できない。
もっとも、今回の研究はオンライン時間と精神機能の関連性には迫ったものの、直接の因果関係を突き止めたものではない。だが、PCの使用時間が減ったぶん、海馬の容積も比例して減少する可能性にたどりついた。
であれば、その関連性から「将来の思考や記憶低下の程度を予測しうるかどうか?」は今後の課題だ。Silbert氏らも「今回の被験者たちの追跡調査を行なう予定」と表明している。
(文=編集部)