日本でも低所得者ほど野菜不足で不健康になっている!
日本の現状をみてみよう。
厚生労働省が2015年12月9日に発表した「平成26年国民健康・栄養調査結果」の中では、「所得と食生活に関する状況」として、食品群別の摂取量を世帯所得が200万円未満、200万円以上600万円未満、600万円以上の3つに分けて分析している。
その調査によると、低所得者層は食品17項目のうち野菜類や肉類、きのこ類、卵類、乳類など半数以上の項目で高所得者層より摂取量が少なく、穀物類だけ多かった。中所得者層でも肉類や野菜類の摂取量は高所得者層より少なかった。低所得者層は高所得者層より摂取カロリーが少ないが、肥満の割合は高かった。
この結果に対し、厚生労働省は、「所得が低い人は栄養バランスのよい食事をとる余裕がなくなっているのではないか。食事の内容を見直すなど健康への関心を高めてほしい」とのコメントを発表した。
「バランスのよい食事をしましょう」と言われても……。
厚労省のこのコメントに対しては、「現代版マリー・アントワネットか」と、ネットを中心に批判の声が多数あがった。18世紀のフランス王妃マリー・アントワネットは、国民の困窮状態に関して「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」と、あまりにも無責任で無知な発言をしているのだ。
今年の冬は、野菜の価格が比較的価格が安定しているが、それでも、東京23区ではキャベツ1個の平均小売価格が144円。大根が1本184円。カット野菜を購入すればさらに割高になる。価格が安くなれば「バランスのよい食事をとる余裕」も生まれてくるのだが、今の日本ではその大前提が多くく揺らいでいる。
前述のMozaffarian氏は、「健康に良い食品を求めやすくし、不健康な食品が社会にもたらすコストをその価格に反映させるための措置を政府に要求する必要がある」と述べている。こうした研究によって価格政策効果のエビデンスが構築され、実現に向かうことが期待される。
一億総活躍などと絵空事を国民に押し付ける前に、安価な野菜と果物を!!
(文=編集部)
※参考記事
厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000106547.pdf
野菜の価格:http://vegetan.alic.go.jp/kouri_cyousa.html