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暴走事故の運転手は「大動脈解離」の症状!日常的にある運転手の健康起因事故

日常的にある運転手の健康状態の急変事故

 一方、業務中の職業運転者がそうした事態に見舞われた場合、事業主がその旨を国土交通省に届け出ることが義務付けられている。

 同省自動車局『事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル』によれば、平成24年のバスの報告事案(58件)の内訳は次のとおりだ。

 ●「乗務前」に健康状態の急変等を確認し、乗務をとりやめたもの: 9件
 ●「乗務中」に健康状態の急変等を確認し、運行経路の途中で運行を中止したもの(交通事故なし): 36件
 ●「乗務中」に健康状態の急変等が発生し、接触等を含む交通事故に至ったもの: 13件(うち乗客が負傷した事案は4件)

 相次ぐ深夜バスやスキーバスの重大事故例を出すまでもなく、日常的にもバス運転手の健康状態の急変がこんなに起きているという事実は驚愕に値する。

不整脈は事故原因として特定されない

 ちなみに上記の内訳の数行前に「重大事故(死者や10人以上の負傷者のあった交通事故等)」という記述があり、今回の暴走死傷事故の規模が計れる。

 同マニュアルには平成21年~24年に発生した事業用自動車の健康起因報告事案(449件)を表にまとめ、原因を「病名別」に分けた結果も載っている(うち死亡運転者数は143名!)。

 発生件数の多い順に「脳疾患」が114件、「心臓疾患」が105件、「めまい」が24件、失神が「21件」と続く。死亡運転者数で見ると、脳・心臓疾患が全体の約8割を占めていた。
 
 また、 脳疾患や心臓疾患とともに失神等の“意識喪失の原因”として挙げられる不整脈については「発症後にその形跡を残さないため、事故原因として特定には至らない」と記述。

 事故原因が特定されないことで「統計上、健康起因以外の事故として報告・整理されている事案が存在する可能性」も指摘されている。

 今回の重大事故はどのように究明されるのだろうか。大阪繁華街で起きた痛ましい暴走事故、大橋さんや巻き込まれた方々のご冥福をお祈りするとともに、悲劇を繰り返さないためにも検証の行方を見守りたい。
(文=編集部)

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