「長男だから……」は科学的根拠ナシ!? ちゃんこ/PIXTA(ピクスタ)
「しっかりしていると思ったら、やっぱり長女だね」「さすがは末っ子、ちゃっかりしている!」――。今までこんな会話を耳にしたり、あるいは、あなた自身が言われたりしたことはないだろうか。
少子化の日本では一人っ子が増えているが、二人や三人きょうだいの場合、昔から「生まれ順がその人の性格を決める」という心理学的な理論が固く信じられてきた。
三人きょうだいの性格は世界共通?
ところが最近、カナダのトロントを拠点にYoutubeで科学教育動画をクリエイトしているミッチェル・モフィット氏とグレッグ・ブラウン氏のユニットが、三人きょうだい及び一人っ子のポジションが性格に影響するという説を紹介している。
●第一子
学業が優秀で意欲的。責任感が強く、分別があることも多い。加えて、他のきょうだいよりもリーダーシップスキルに優れる傾向がある。
●真ん中っ子
協調性にあふれ、柔軟性や社交性に富み、友だちづくりも得意。両親からの注目度が低めなため、のびのびとしつつも目立ちたがり屋。
●末っ子
感じが良く魅力的。ほかのきょうだいよりも創造的で自信家が多い。甘やかされやすく常に庇護されるため、一般に責任感や分別に乏しい傾向も。
●一人っ子
学業優秀で創造性にあふれ、機知に富む。大人をお手本に早くから分別を身につけ、責任感も強く、物事をコントロールすることを好む。
どうだろう。「当たっている!」「万国共通なのね」と納得した人も多いのではないだろうか。だが、待って欲しい。一方で、この説にはまったく根拠がなく、「生まれ順で性格が決まる」という話は忘れたほうがいいことを示唆する研究結果が『Proceedings of the National Academy of Sciences』(10月19日号)に掲載された。
2万人の性格と生まれ順に関連性がない!
この研究は、独・ライプツィヒ大学大学院生のJulia Rohrer氏らによるもの。きょうだいのポジションと性格との関係を検証するために、米国人5240人、英国人4489人、ドイツ人1万456 人、合計2万人以上もの性格と知能のデータを収集し、レビューを実施した。
その結果、生まれ順は成人した時の「五大性格特性」、すなわち「外向性」「情緒的安定性」「協調性」「勤勉性」「経験への開放性」のすべてに影響することなく、意外にも、家族内のポジションに基づく性格特性のパターンは認められなかったという。
ただ、その一方で、長男長女は第二子以降よりもわずかながら知能検査のスコアが高いことが判明した。この理由についてRohrer氏は、生まれ順というよりも「家族内での社会的な交流によるものだろう」と考えている。