自らゲイとカミングアウトし、『同姓婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です』の著作もある南 和行弁護士(なんもり法律事務所)は、条例について、弁護士ドットコムニュースで次のコメントを寄せる。
「結婚は、男女が結婚したいと合意し、役所に書類を提出すれば成立する。条例は、同性パートナーが互いに任意後見契約を結ぶことが条件だ。任意後見契約は、いざというとき相手の面倒を見るという契約。結婚はそれほどの強い関係性や強制性はなく、夫婦でも後見人は別人というケースがある。つまり、同性パートナーシップ制度は、あくまでも結婚とは別の制度と判断すべきだ」
しかし、同性パートナーシップ制度を結婚と同等に扱うとすれば、「結婚の本質は何か?」という議論に踏み込まざるを得ない。たとえば、子どもの養育だ。結婚の本質は、次世代を育てることを含むのか、含まないのか? 同性パートナーが養子を迎え入れるケースや、生殖補助医療を使うケースなど、同性婚の法律的な整備や倫理的な解決策が必要になる。南弁護士は、同姓パートナーシップ制度がきっかけになり、結婚とは? 夫婦とは? 家族とは? という議論が盛り上がることを期待している。
南弁護士が指摘するように、今後は同性パートナーシップ条例の波紋が全国に広がり、セクシュアル・マイノリティの人権保護につながるトリガー(引き金)になるのは確かだ。
(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。