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大麻を「ダメ、ゼッタイ」とする根拠は崩れてきた! 世界的に規制緩和が進む「医療大麻」とどう向き合うべき?

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医療大麻は全米23州とワシントンDC、世界的には21か国で合法的に使用できる shutterstock.com

 先日、縁あって「日本臨床カンナビノイド学会」というものに参加した。カンナビノイドとは麻に含まれる化学物質の総称で、ここでいう麻は「大麻」のことである。つまりこの学会は、大麻の医療利用に関する臨床データを蓄積し、啓蒙・普及を目指すということだ。

 日本において大麻は、大麻取締法などで規制され、医療使用であっても「ダメ、ゼッタイ」である。しかし、同学会に参加して驚いたことは、そんな日本でもサプリメントとして大麻を使用することが可能になっているということだ。

 学会の最後に、おぼつかない足取りで登壇した青年は、2ヵ月前まで髄膜炎の後遺症で歩行困難であったという。大麻サプリメントの摂取により、1ヵ月程度で杖歩行ができるようになり、さらに1ヵ月の後には自ら壇上にのぼり、その回復ぶりをアピールした。その姿は、医療大麻により救われる患者が潜在的にたくさんいるであろうことを感じさせるとともに、大麻に対する固定観念は正義なのか、偏見なのかを自問自答させるものであった。

 世界的に規制緩和が進んでいる医療大麻は、今後、日本でも議論になりそうだ。

麻と人類の歴史

 麻に含まれる科学部室であるカンナビノイドは、現在104種類が知られているが、主なものとしてテトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)が挙げられる。

 THCには、いわゆるハイになる精神作用(意識の変調、多幸感、幻覚など)があるほか、疼痛緩和、食欲増進などの薬理効果が知られている。CBDには精神作用はなく、疼痛緩和、抗けいれん、抗炎症、抗不安などの作用がある。現在、輸入可能な大麻サプリメントはCBDオイルのみで、前出の髄膜炎の青年も、これを服用している。

 麻の歴史は非常に古く、人類が繊維をとるために最初に栽培を始めた植物であると言われている。エジプトではミイラが麻布で包まれていることが確認され、日本でも縄文土器の底に麻の実が確認されているので、麻との付き合いは7600年以上にもなると推測される。茎からは繊維、実は食用、さらに油もとれるなど、利用価値の高い植物として盛んに栽培されていた。

 生活への浸透は精神文化にも影響し、「丈夫にまっすぐに育つ」麻にあやかって、産着には麻の葉模様をつける習慣ができ、「魔よけの呪力」があると信じらたことから、注連縄(しめなわ)や大幣(おおぬさ)などの神具に今でも麻が使用されている。

 ちなみに現在「麻」として流通している繊維は、亜麻(あま)と苧麻(ちょま)であって、大麻とは品種が違うことを付記しておく。

医薬品としての大麻

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