医療制度とは別に、介護休業制度の取得がまだ少ないことも「寝たきり老人」をつくることに少なからず関与している。
現在、働きながら介護をしている人はおよそ139万9000人。そのなかで介護休業や短時間勤務など介護休業制度を利用したことのある人は37万8000人、27%に過ぎない(総務省・平成24年就業構造基本調査)。
現況では、介護休暇を取得しづらい雰囲気が多くの企業にある。制度すら適用していない中小企業も多い。だから、家族に介護が必要となった場合、介護休業制度を使うことなくいきなり離職してしまう人が多いのだ。そして収入の手だてがなくなった介護者は、貯金が底をついたら被介護者の年金を生活の糧にせざるを得ない。生きていてもらわないと自分の生活が立ち行かなくなるから、延命治療を求めてしまう例もある。
社会システムのひずみから、今日もひとり、明日もふたりと、寝たきり老人がつくられていく。
(文=編集部)