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立っている時間は「2時間以上」で「5時間未満」が健康にはベスト?

 最新の研究では、「座って過ごす時間が長いと心血管系に悪影響をおよぼす」ことも指摘されている。「たとえ定期的に運動をしている人でも、座って過ごす時間が長いと心血管系に悪影響をおよぼす」という報告が、『European Heart Journal』(オンライン版・7月30日)に掲載された。

 座る時間が長いと血糖値や脂質値が上昇し、体重増加、心疾患の発症につながる。だが、1日2時間、座位から立位に替えることで、これらの指標が改善し、ウエストも細くなるという。

 研究を主導した豪クイーンズランド大学のGenevieve Healy 氏は「座る替わりに立って過ごすことが、心血管代謝に好影響をおよぼす。座るよりも立つ時間を長くすることで、血糖値やコレステロール値は改善し、さらに、座る時間をウォーキングに替えることでウエスト周囲長やBMIの改善も図れる」と述べている。

 同氏らは、オーストラリア糖尿病・肥満・ライフスタイル研究(Australian Diabetes,Obesity and Lifestyle Study)に参加した男女782人(36~80歳)に活動量計を提供。「座位・臥位・立位・歩行・走る」に費やす時間を追跡した。

 また、対象者には、血液検査、血圧・ウエスト周囲長・身長・体重(BMI)測定を実施。活動量計は24時間、7日間にわたって装着された。

 その結果、1日2時間を座位から立位に替えると、空腹時血糖値が2%、トリグリセライド(中性脂肪)が11%、それぞれ有意に低下。立っている時間が長いほど、コレステロール値の改善に関連していた。

 さらに、1日2時間を座位からウォーキングやランニングに替えることで、BMIが11%低下し、ウエスト周囲長が7.5cm減少することもわかった。ウォーキングに替えた場合には、さらに食後2時間血糖値の11%低下、トリグリセライド値の14%低下に関連していた。

 「自身の心臓の健康とウエスト周囲長低減のためにも、"座るな、立ち上がれ"」と、同氏は訴えている。

"運動"よりも"立つ"ことが重要

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)心臓病学教授のGregg Fonarow氏は、「これまで多くの研究から、座っている時間の長さが糖尿病や心疾患、若年死亡に関連することが示されている」と指摘。座っている時間が長い人では、たとえ定期的に運動していても早期死亡リスクが高い。だが、最も健康のリスクが高いのは「まったく運動しない人」だという。

 付随論説を執筆した米メイヨークリニック(ミネソタ州)の心臓専門医であるFrancisco Lopez-Jimenez氏は、「これまで社会は "運動"に注意を払いすぎてきた。座っている時間を長くとりすぎないこと、"立つ"という低強度の運動の重要性にも留意すべきだ」と述べている。

 もちろん、運動が習慣化できるに越したことはないが、1日2時間程度の「立つ」習慣は、あなたの健康を左右しそうだ。
(文=編集部)

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