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がんの発症率が高まる? 更年期障害の「ホルモン補充療法」に対する誤解

がんの発症率が高まる? 更年期障害の「ホルモン補充療法」に対する誤解の画像1

更年期障害でほてりやのぼせがshutterstock.com

 女性が妊娠・出産に適した時期を過ぎるとやってくる更年期。更年期は閉経の前後10年間くらいの期間を指すため、平均的には45~55歳だが、人によって個人差が大きい。この時期に起こるさまざまな不快な症状が「更年期障害」だ。ほてりやのぼせ、発汗などがよく知られているが、ほかにも手足の冷えや頭痛、めまい、だるさ、不眠、気持ちの落ち込みなど、女性の数だけあるといってもいいほど多岐にわたる。同時に複数の症状が出る場合もある。

 原因は卵胞ホルモンともよばれ、妊娠に欠かせない重要な女性ホルモンのエストロゲンの急激な減少である。更年期になると卵巣の働きが衰え、脳からの指令がきても分泌がそれに応えられなくなる。そのバランスの悪さが不快な症状の原因となる。
 

ホルモン補充療法とは何か~その実際は

 更年期の症状が気になる時は、無理をしない、睡眠時間を確保する、ぬるめの湯につかる、適度な運動をする、アロマセラピーを行うなどまずは生活改善を試してみよう。症状がそれほど強くなければこれで軽快するかもしれない。しかし、それでも改善されない場合は婦人科の受診をおすすめする。
 
 まず初めにエストロゲン値を測定することになる。十分に分泌しているかどうかは、尿検査だけでわかるのだ。その結果エストロゲンが大幅に不足していれば、ホルモン補充療法(HRT)をすすめられる。HRTとは Hormone Replacement Therapy の略で、足りなくなったホルモンを外から補い、さまざまな症状をやわらげるものである。効果は高く、3カ月前後の治療で80%の人に改善が見られたという報告がある。中には服用翌日に、劇的に症状が消えた人もいる。
 
 エストロゲン製剤には飲み薬、貼り薬、塗り薬などの種類があり、好きなものを選べる。使い始めてから種類を換えることもできる。飲み薬は小さめの錠剤で一日一錠。飲み忘れても気にする必要はない。貼り薬は直径4~5㎝程度のごく薄いばんそうこうのようなもので、皮膚から薬剤を吸収する。腹部やお尻など人目に触れないところに貼り、2日に一度貼り換える。塗り薬はジェル状でボディ用乳液のようなものだ。腕などに塗り、やはり皮膚から吸収させる。

 価格は大まかに言って、飲み薬、貼り薬、塗り薬の順に1:2:4くらい(自己負担額・以下同)。しかし、一番高価な塗り薬でも、リーズナブルなボディ用乳液程度の額だ。飲み薬では3カ月分で数百円程度の負担で済む。女性が日頃手にする化粧品より安いくらいだ。また、定期的にHRTを行うようになれば、数カ月分の薬剤処方が可能であるため、通院回数もぐっと減る。
それなのに、日本ではつらい症状を我慢して婦人科に行かない女性も大勢いる。

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