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【連載第2回 「抗がん剤は効かない」をなぜ信じてしまうのか?】

がんの最新治療は、必ずしも最善の治療法ではない

 日本は、陽子線治療装置を9カ所、重粒子線治療を4カ所に所有し(平成26年3月現在)、世界一陽子線、重粒子線治療装置を有する国になりましたが、科学的エビデンスのないまま、"箱もの行政"の一環として、過剰につくられているといった感が否めません。

 また、優れた研究結果が出るのは、いつも海外からであり、日本で、陽子線・重粒子線治療をきちんと評価しようとして、最も信頼ができる研究手法のランダム化比較試験はまだ行われていません。海外では、陽子線の評価をしようとするランダム化比較試験が行われていますが、その結果いかんにより、陽子線治療が否定される可能性もあるのです。

以上述べてきたように、最新治療と言っても、研究段階であり、今後の研究結果によっては、無効となる可能性もあるのです。また、どんな治療でも副作用は避けられないものです。"最新治療"という甘い言葉に惑わされないよう、冷静、客観的に判断してきたいものです。


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勝俣 範之

勝俣範之(かつまたのりゆき)
日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授
がん薬物療法専門医
1963年山梨県生まれ。1988年富山医科薬科大学医学部卒業
2011年10月より、20年間務めた国立がん研究センター中央病院を退職し、日本医科大学武蔵小杉病院で腫瘍内科を立ち上げた。日本でまだ少ないがん薬物療法専門医・腫瘍内科医の一人。がんサバイバー支援にも積極的に取り組んでいて、正しいがん情報の普及を目指して、ブログ、ツイッター、フェイスブックを通し、情報発信している。近著に『「抗がん剤は効かない」の罪』(毎日新聞社刊)がある。
連載「「抗がん剤は効かない」をなぜ信じてしまうのか?」バックナンバー

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