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【検証 菅政権はなぜコロナに負けたのか➀】

GoToトラベルへの異常なこだわりと行動制限の長期化という失策

GoToトラベルにこだわった理由は?

 菅首相はなぜこれほどまでにGoToにこだわったのか。1つは「経済政策とコロナ対策の両立」を目指すという方針の偏重とコロナへの認識の甘さからだ。さらに政策対象となる旅行業界は、自民党総裁選でいち早く菅氏支持を打ち出し、政権を支えてきた二階俊博幹事長の金城湯池。菅首相も統合型リゾート(IR)を推進するなど観光・旅行業界には関心が深い。
 
 だが、これだけでは説明し切れない。GoToは感染拡大に直結する人の移動奨励策であり、これを優先すれば、国民の命と健康が犠牲になることは容易に想像がつくからだ。ここに菅首相の根本的な問題がある。自分に盾突く官僚たちを人事権の行使という恐怖政治で服従させてきた菅首相には、悪い情報が入らず、ゴマすりが群がる。狭い視野と独善が、最後は驚くほどの「裸の王様」ぶりを招く。その結果がGoToへの異常ともいえる執着ぶりだった。
 
 一体、この政策判断ミスによってどれだけの死亡者が出たことだろう。実際、1月から2月中旬にかけてコロナによる死亡者数は大幅に増加、2月10日にはそれまでで最高の121人となった。
 
 しかし、GoToの傷跡はこれだけにとどまらなかった。5カ月間の誤った政策の実行は、その後8カ月に及ぶ行動制限につながっていったからだ。

行動制限の長期化招いた判断ミス

 菅首相が専門家の意見に耳を傾け、昨年11月中下旬にGoToを打ち切り、緊急事態宣言を12月半ばまでに発令していたら、まったく別の展開になっていただろう。年末年始を移動自粛期間とすることで、コロナを徹底的に沈静化することも可能となりえた。さらに、日ごろから着々とPCR検査体制の大幅な拡充も実施していれば、まったく違う世界が実現していたはずだ。
 
 逆に言えば、菅首相のGoToへの執着が第3波の山を高くし、その後の谷に至る時間も長く、谷の深さも浅いものにしたといえる。第3波のピーク以降、東京、大阪などの大都市圏を中心に、日本が緊急事態宣言とまん延防止措置のいずれかによって恒常的に行動自粛制限を強いられるようになったきっかけは、菅首相のGoToをめぐる判断の誤りが原因だった。(続)
(文=荒木健次/ジャーナリスト)

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