「オロナミン・セーキ」に「オロナミン・ミルク」?
その浸透ぶりを象徴的に物語るのが大阪万博(1970年)開催時のエピソードで、場内の全売店180店舗中、実に105店舗までに『オロナミンC』が置かれて販売されていたというから、この時点で無敵の存在だろう。
その追い風ぶりを如実に感じさせたのが1972年の「新しい飲み方」という提案で、この年のCMには、初代貢献者にして(例のホーロー看板でもお馴染みの)絶大な広告塔・大村崑さんが家族総出で登場を。
題して「ホーム・パーティー編」ではナント、長男が卵で割った「オロナミン・セーキ」をゴクゴク飲めば、次男は次男で牛乳割の「オロナミン・ミルク」を紹介。これらの飲み方は、現在でも「元気のレシピ」として公式ウェブサイト上に載っている。
もちろん、父親の崑さんはウイスキー割り、後輩役の古川ロックさんもジン割りで乾杯し、オロナミンなカクテルのCM提案を行なった。この「オトナの飲み方」は、その後(2004年)、泉谷しげるさんと冨永愛さんが共演したCMで初めて知ったという方もいるだろう。
「小さな巨人」は海外でも快進撃
こうして「老若男女を問わず愛され、家族みんなに飲んでもらえるドリンクになる!」という営業マンたちの販売意欲は海をも越えて快進撃を続ける。
1980年代半ばからは、カタールやクウェート、オマーン、バーレーンなどの中東地域でも販売され、とりわけUAE(アラブ首長国連邦)での人気が高く、立派なメジャー飲料として愛飲されているようだ。
そんな積年の営業努力が実を結び、国内での累計販売本数は100億本達成(1985年)→200億本達成(1995年)→2011年5月には300億本達成と推移してきた。
「ミンC」の名が体を表わすように、『オロナミンC』にはカラダに必要な5大要素の1つであるビタミン群(ビタミンC、B2、B6など)が含まれている。そしてあの、液体の独特の黄色こそは「ビタミンB2本来の色」なのだ。
あの黄色に「どうも抵抗感を覚える……」という向きもおられるだろうが、意外にも着色料や保存料は一切使われていないので御安心を。
さて、あなたはこの国民的栄養ドリンク剤をどんなキャッチコピーで刷り込まれてきた世代に属するだろうか?
大村崑さんの「うれしいとねえ、めがねが落ちるんですよ』か? 読売ジャイアンツの人気選手勢が謳った「『オロナミンC』は小さな巨人です!」か? それとも発売50周年時(2015年)の関ジャニによる「元気ハツラツ隊」の存在によってだろうか?
いずれにせよ、上戸彩さんから「元気ハツラツぅ?」と画面越しに訊かれたら、思わずアノ炭酸入り飲料特有の黄色い味覚(?)が舌の上で蘇り、我慢できなくて深夜のコンビニに走ったという方もいるだろう。ところでいま、元気ハツラツぅ?
(文=編集部)