マンション住まいの子どもは「高所平気症」に? TSUYOSHI/PIXTA(ピクスタ)
●「高所平気症」で“地上遊び”奨励
ベランダから子どもが転落し、命を落とす事故が続いている。東京消防庁によると、同庁管内で発生した乳幼児の高所からの転落事故は、平成23~25年の間に65件発生している。
その理由の一つとして注目されているのが「高所平気症」だ。高層マンションで生活する子育て世帯の増加していることで、高い場所での生活に慣れ、「高い所が怖くない」子どもが増えているのだ。
専門家によると、子どもが高い場所が危険かどうかを判断する感覚は、4歳頃までに大人の約8割のレベルまで発達する。幼少期には自分の目線の高さを基準にして高さを判断するため、地面が見えない高層階では、高い場所への恐怖心が育ちにくいのだという。
また、ベランダを室内の延長と捉えて、居住スペースの確保を工夫する家庭も増えている。ベランダに「踏み台」になるような物があれば、好奇心からベランダの柵の上に身を乗り出すリスクが高まるのは否めない。
さらに子どもは、身体に対して頭のサイズが大きい。少し乗り出しただけでも、頭の重みでバランスを崩して転落する。これまでの分析から、ベランダからの転落事故の多くは、子どもだけが室内にいるときに起きている。子どもが一人で、容易にベランダに出られないような施錠対策の徹底も重要だ。
建築会社によっては、独自に設計基準を見直した取り組みもある。だが、それだけでは、安全の確保にバラツキが生じるため、建築基準法での柵の高さの規制をより厳しくするなど、見直しの必要性が求められている。
一方で、高層階で暮らす子どもは、高さの感覚をつかませるために、意識的に地上で遊ぶ機会を取り入れたほうがいいようだ。かつては、子どもの発育過程で、「外で遊ぶ」ことが奨励されてきたが、今は「地上で遊ぶ」ことを意識すべき世代なのだ。
●便秘治療の「酸化マグネシウム製剤」で死亡例
医薬品医療機器総合機構が10月20日、便秘などの治療に使われる「酸化マグネシウム製剤」を飲んだ後、死亡した報告があったことを発表した。
発表によれば、血圧低下など「高マグネシウム血症」による死亡が、2012年4月以降4件あった。死亡例も含め29件の副作用報告があり、19件で因果関係を否定できなかったという。
酸化マグネシウムは、長く使うことなどで血液中のマグネシウムの濃度が高くなり、心停止などにつながる恐れもある。厚生労働省は、特に報告の多かった高齢者の服用について、薬の添付文書で注意喚起するよう、医療用医薬品を製造・販売する17会社などに指示。
初期症状として、吐き気やめまいなどがある。そのような場合はすぐに服用をやめ、医療機関を受診するように呼びかけている。