では、殺虫剤をなるべく使わないようにするにはどうしたらいいか。まず基本は、虫のエサになる食べ物を室内に置かないこと、生ゴミはしっかり密封すること。ボウフラの温床となる水たまりをベランダや庭に作らない。さらに害虫用の捕獲器を使うなどの選択肢もある。たとえば、最近ネットで話題の「酒と洗剤を使ったハエトラップ」など、身近な物を利用した知恵は少なくない。
ハーブ類に含まれるL-メントールや柑橘類に含まれるD-リモネンは、多くの昆虫が嫌う天然の虫除け成分だ。ペパーミントやオレンジ、クローブなどを精製したエッセンシャルオイルにエタノールを添加して、香炉で焚いたりスプレーにして撒いたりすることも効果がある。
今回の研究グループは「子どもは学校、公園、遊び場など自宅以外で殺虫剤に曝露することもあるため、そうした場所で殺虫剤の使用を制限することにも意味がある」指摘している。
日本でも、たとえば東京都環境局が「化学物質の子どもガイドライン」を策定。施設管理者に対して、殺虫剤散布の情報提供や、散布時の子どもへの接触を防ぐ方法、さらに薬剤を利用しない防除方法の推進も行っている。
子どもたちが屋外でどんな化学物質に触れる可能性があるかを、こうした行政資料で知っておくことは無駄ではない。今や、防虫剤や殺虫剤を始めとする化学物質は私たちの生活になくてはならないものだ。むやみに怖がるのではなく、正しい知識を持ってリスクを回避することが大切ではないだろうか。
(文=編集部)