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突然死を引き起こす原因に。恐怖の「エイリアン脂肪」の正体とは?

 ここ数年、全国各地で"謎の心臓病"が急増している。突然、心臓の血管が詰まり、心筋梗塞を発症し、死に至るというものだ。何が「謎」なのかといえば、突然死した人たちの中には肥満でもなく、定期診断などの検査では心臓の異常が認められなかった人が少なくなかったからだ。あやうく一命をとりとめた患者によれば、「心臓にかみつかれたみたいだった」「心臓の内側から食い破られたようだった」という。今、現代人の心臓に何が起こっているのか。

 心疾患の中で多いのが心筋梗塞や狭心症だが、どちらも冠動脈の動脈硬化が主な原因と考えられる。そして、冠動脈の障害で亡くなる人の多くは突然死なのだ。
"謎の心臓病"もここに含まれるのだが、今まで定説とされていた心筋梗塞とは、原因が異なるのである。その真犯人の正体は、実は脂肪なのである。そして、脂肪が真犯人であるにもかかわらず、その魔の手は、メタボ以外の人たちにもじわじわと伸びている。

 通常、余分な脂肪は、皮下脂肪や腹部の内臓脂肪にたまると考えられてきたが、余分な脂肪は心臓周辺にも蓄積する。普通ならつくはずのない場所につくため、この脂肪は異所性脂肪と呼ばれ身体に悪い影響を及ぼす。

"謎の心臓病"でなくなった患者さんの実際に心臓を取り出してみると、本来なら赤い筋肉が見える心臓は黄色い脂肪に覆われているという。この脂肪からを剥がすと、心臓の冠動脈に向かって毛細血管がまとわりついている。この毛細血管から、毒素を注入され心臓内部が破壊され突然死が引き起こされたのだ。この毒素は、白血球の一種のマクロファージだ。マクロファージはウイルスや死んだ細胞などを食べて分解してくれる体内の「掃除屋」。ところが、脂肪細胞が肥満して巨大化したために、マクロファージはこれを異物とみなし、これを溶かそうと攻撃を仕掛けてくる。マクロファージから分泌された物質が心臓にも流れ込み、その結果として心筋梗塞などを起こさせるのである。まるで心臓に直接かみつき、内側から食い破るエイリアンに似ているところから、この脂肪は「エイリアン脂肪」とも呼ばれる。

●自覚症状のない心臓周辺の脂肪

 一般的に太った人のほうが脂肪がついている。だから、心臓周辺脂肪も太った人の方が多いと思われる。が、それは一概にはいえないのだ。これは他の内臓脂肪と同様だ。
食べ過ぎたり、運動不足だったりすると、余った栄養は皮下脂肪や内臓脂肪に蓄積される。しかし、脂肪細胞の数は急に増やせない。それで、脂肪細胞は1つ1つが膨張することで、余った栄養を蓄積する。脂肪細胞は、太っている人の方が痩せている人より多い。痩せている人の場合は、脂肪を溜め込めない分、心臓などに溜め込むことになる。もちろん、脂肪細胞が多いからといって、太っている方がいいわけではない。すでに心臓周辺脂肪がついていることもある。

 また、心臓病というと、高齢者というイメージがあるが、心臓周辺脂肪の場合は年齢には関係がない。心臓周辺脂肪が原因の心筋梗塞は、自覚症状がないため、突然死を招くわけだが、何か事前にサインはないのだろうか。
まず、気をつけてほしいのは、最近、急に体重が増えた人。また、脂肪がついてこの謎の心臓病の脅威が増えた人も要注意だ。医療機関で肝脂肪と診断された人もあぶない。
(文=編集部)

 

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