【病気の知識】
悪性リンパ腫は体内に存在するリンパ組織のガン。リンパ節の腫大を主な症状とします。脾臓や骨髄、胃などの消化管や他の臓器といったリンパ節以外の組織に浸潤をきたすこともあります。
悪性リンパ腫はその組織像が極めて重要で、組織の違いにより大きくホジキン病と非ホジキン・リンパ腫とに分けられます。ホジキン病はさらに4型に分けられます。非ホジキン・リンパ腫もさらに10種類以上に細分化され、その症状は緩やかに進展するものから急速に進展し、急性白血病と同様の症状をきたすものまで極めて多種に及びます。そうした病気の性格を決定づけるのがリンパ腫の組織像であるため、リンパ節の生検は診断、治療上極めて重要です。
緩除に進展する悪性リンパ腫の場合は、リンパ節の腫大あるいは脾臓の腫大が主な症状ですが、貧血等の骨髄抑制のために引きおこされる症状が見られる場合もあります。診断されても数年は治療せずに様子を見るだけのこともあります。
一方、急速に進展する悪性リンパ腫の場合には、急性白血病と同様に感染あるいは出血の症状を伴うこともあり、さらにリンパ腫自体に伴う発熱や夜間の発汗、体重減少などの症状が見られることもあります。
リンパ節の腫大に伴い、各種臓器や血管、神経が圧迫されていろいろな症状を呈することがあります。また、リンパ腫の細胞が各種臓器に浸潤し、いろいろの障害を呈することもあります。
リンパ節の腫大する病気にはいろいろあり、悪性リンパ腫やガンの転移といった悪性の病気のみでなく、結核や細菌、ウイルスの感染症、各種免疫疾患などでもリンパ節が腫大します。そのためリンパ腫の診断は治療を行う上で極めて重要なステップといえます。
リンパ腫の診断の決め手は腫大したリンパ節の生検です。リンパ節生検では、安全でとりやすい部位(頸部、わきの下やそけい部など)にある腫大したリンパ節に局所麻酔を行い手術的に取り出して検査します。取り出したリンパ節は病理学的に検査される一方、そこに存在するガン細胞の性質や遺伝子レベルでの検討が加えられます。
その他にも骨髄への浸潤を検討するために骨髄穿刺検査ならびに骨髄生検が必要となります。またリンパ節の腫大の程度と範囲を知るために、頸部から胸部、腹部、骨盤腔までのCT検査が必要です。
もちろんさまざまな臓器の浸潤を検討するために、生化学検査等により肝臓や腎臓の検査もします。また脳脊髄液への浸潤を考慮しなければならない場合には、脳脊髄液検査(腰椎穿刺)を行います。
悪性リンパ腫の治療法は放射線療法と抗ガン剤による化学療法とが主体となります。手術で病気に犯されたリンパ節を全てとってしまうことはできません。緩やかに進行する悪性リンパ腫の場合には、治療をせずに経過観察をすることもあります。
化学療法剤はホジキン病と非ホジキン・リンパ腫とで多少異なります。ホジキン病ではABVDと呼ばれる4種類の抗ガン剤の併用療法が、また非ホジキン・リンパ腫では、CHOPと呼ばれる4種類の抗ガン剤の併用療法が主に行われています。
いずれの治療も、治療により感染症が起こりやすくなるため、予防のために抗生剤を投与することがあります。放射線治療は特にホジキン病の早期の患者に行われるもので、全身のリンパ節に放射線を照射します。稀に局在する悪性リンパ腫に対し、放射線療法を用いる場合もあります。
最後に骨髄移植が適応となる場合があります。各々の適応に関しては、専門家との相談が必要です。自分の末梢血幹細胞を保存し、それを用いて移植を行う自家末梢血幹細胞移植なども行われることがあり、同種骨髄移植も含めた多様な選択肢が存在します。
原因はよくわかっておらず、予防方法は今のところ知られていません。
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