医療現場のプラス面の効果を訴える意見も
一方、彼らの報告とは対照的な知見がないわけでもない。
ある先行研究では、医療大麻プログラムの施行後も「10代での大麻使用は増加していない」との報告がなされており、成人と10代という調査対象層の違いはあるものの後者の傾向も見逃せないだろう。
大麻合法化団体NORML(The National Organization for the Reform of Marijuana)のPaul Armentano氏も「医療現場での実際の経験からプラス面の効果は明らかだし、大麻を合法的に製造して販売しても公衆衛生全体に悪影響を及ぼすことはない」と、擁護の立場から述べている。
増加する調剤薬局の影響を指摘した前出のPacula氏も、最新研究の留意点をあげている。つまり今回の場合、「全米調査」のデータに基づいて「州レベルの傾向」を評価しているため、その判断においては慎重さを要するという。
たとえば、カリフォルニア州では大麻使用の減少(1991~2002年)が読み取れるなど、「疑わしい部分がないことはない」と指摘する。「州別」のデータを用いて解析した場合も、はたして同様の結果が得られるのかどうか、「それを確認したい」とPacula氏。
と、今回は海の向こうの「意図しない副産物」現象を紹介したが、2020年東京五輪・パラリンピックを控えたわが国の空の下では、「たばこのない五輪」実現さえ自民党一部議員らの抵抗にあって周知期間を割り込んで、燻っている有様だ。
この国では依然、「煙から疾患」の悪影響が見て見ぬふりをされている……。情けない。
(文=編集部)