セクシュアル・マイノリティはすでにマニノリティではない!?(shutterstock.com)
レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーなど(LGBT)のセクシュアル・マイノリティは、結婚できない。住宅ローンが組めない。配偶者控除や福利厚生が受けられない。セクハラ発言による苦悩、カミングアウトによる不採用など、生活でも仕事でも、公私にわたって権利の侵害や不利益に曝されているLGBTの厳しい現実を知ろう!
LGBTの理解者や支援者として行動しよう!
セクシャル・ダイバーシティ(性の多様性)の広がりや、LGBTの権利支援の変化に伴って、国や自治体も企業も個人も、LGBTのアライ(Ally:LGBTの理解者や支援者)として行動できる状況が整って来た。
国や自治体は、LGBTの差別禁止や同姓婚に関する法律や条例を整備する、相談窓口などのサポート体制を充実させる、悪質な企業への行政指導や罰則を強化していくなど、グローバルかつユニバーサルな観点から政策の転換を図っていく。
企業は、福利厚生や人事制度を改善し、LGBTが働きやすい職場環境を整える、イベント協賛などの対外的な支援活動を広げる、LGBTの消費者に特化した商品やサービスを開発するなど、多面的な経営戦略やマーケティング活動に取り組む。
個人は、LGBTの権利保護や支援のほか、消費者としてLGBTの意識やライフスタイルに対応している企業の商品やサービスを選ぶようになる。
このようなLGBTが社会に及ぼす精神的なインパクトや経済的なインセンティブ(刺激)はとても大きい。
電通ダイバーシティ・ラボの調査によれば、LGBTに関連する消費(レインボー消費)規模は、およそ5.9兆円。レインボー消費がトリガー(引き金)になり、企業の商品やサービスの利用によるLGBT支援消費や、賃貸マンション契約や結婚・旅行・生命保険などによる新たな人間関係消費が急増すれば、その経済効果は数倍に膨らむ可能性もある。
このような同姓婚の合法化やLGBTの理解・支援活動が急速に加速し、消費経済への貢献度が期待される一方で、世界に目を向けると、性的マイノリティであるLGBTへの偏見や差別が厳存している現実がある。
2015年現在、同姓婚を合法化しているのは、米国、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ、アルゼンチン、スペイン、南アフリカのほか、ブラジル、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガルなど欧米諸国を中心に20ヶ国に上る。同姓パートナーシップ制度を認めている国々も25ヶ国ある。
しかし、サウジアラビア、インド、シンガポール、マレーシア、イラン、ロシアなどは、宗教的な倫理や教義などを盾に、死刑による弾圧や社会的な迫害・制裁を公然と行い、LGBTへの差別意識は根深い。
日本をはじめ、韓国、イタリア、インドネシア、タイ、ベトナムなどのように、同姓婚を法制化していない国々も少なくない。