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安全な飲酒量はない!?アルコール関連死280万人、がんの死亡リスクが酒量に比例!

安全な飲酒量など存在しない!?(depositphotos.com)

 ワシントン大学のMax G. Griswold氏らの研究グループは、195カ国・地域の疾病負荷を定量化する「世界疾病負担研究(GBD)2016」のシステマチックレビューとメタ解析に基づき、「世界のアルコール関連死は、およそ280万人に上る。がんの死亡リスクはアルコール摂取量が多いほど増加し、健康損失を最小限に抑える飲酒量はない」と警告する研究成果を『Lancet』(2018年8月23日オンライン版)に発表した。

 発表によれば、Griswold氏らは個人と集団の飲酒に関するデータソース694件と飲酒リスクに関する前向き・後ろ向き研究データ592件を活用し、1990~2016年にわたる195カ国・地域のアルコール関連健康アウトカム23項目のリスクを解析し、男女別・5歳年齢階級別(15~95歳以上)の飲酒率、標準飲酒量、アルコール関連死、障害調整生存年数(DALY)を算出した。

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 その結果、飲酒者は、世界総人口の32.5%に当たる約24億人(女性は25%:9億人、男性は39%:15億人)、飲酒者の1日当たりの平均飲酒量は、女性が0.73ドリンク、男性が1.7ドリンクと推定した(1ドリンク=純アルコール10g換算)。

1日に1~2杯の飲酒が健康に良という考えは神話にすぎない

 飲酒は、世界の死亡率と障害調整生存年数(DALY)の7番目に該当するリスク要因であり、飲酒関連死は280万人に上った。飲酒関連死の年齢調整死亡率は、女性が2.2%、男性が6.8%。15~49歳の飲酒関連死は女性が3.8%、男性が12.2%と高い。

 15~49歳の飲酒関連死亡率は、国によって格差がある。クウェート、イラン、モルディブ、シンガポール低く、ラトビア、ロシア、モンゴル、レソトなどのアフリカ諸国は高い。

 障害調整生存年数(DALY)の観点から見ると、飲酒は女性の1.6%、男性の6.0%占める。15~49歳は、女性が2.3%、男性が8.9%だった。また、50歳以上では、アルコール関連死に占めるがんの割合は、女性27.1%、男性18.9%だった。

 さらに、各健康アウトカムの推定相対リスク曲線の解析によると、虚血性心疾患リスクだけが1日0.8ドリンク程度の少量飲酒者で最小となったものの、すべての健康損失リスクを最小限に抑えるアルコール摂取量は、1日0(95%UI 0.0~0.8)ドリンクと推計された。

 共著者で同大学のEmmanuela Gakidou氏は「特にアルコール関連死リスクが高い国では、今回の知見を検証して公衆衛生上の取り組みに反映させ、国民の健康とwell being(身体的・精神的・社会的に良好な状態)を改善すべきだ。節酒または断酒を奨励するための施策を早急に見直す必要がある。1日に1~2ドリンクの飲酒が健康に良い影響を及ぼすという考えは神話にすぎない」と強調している。

 なお、1ドリンク(純アルコール10g)とは、「飲酒量(mL)×酒のアルコール濃度×0.8」の計算式によって飲酒量を純アルコールに換算した数値。赤ワイン(アルコール度数13%)なら1杯・100mL、ビール(アルコール度数3.5%)なら375mL缶、ウイスキーやその他のスピリッツ(アルコール度数40%)なら30mLに相当する。

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