閉経後に「歯周病」になると「発がんリスク」が約14%も上昇する(depositphotos.com)
米ニューヨーク州立大学バッファロー校健康衛生学部長のJean Wactawski-Wende氏らは、「女性の健康イニシアティブ観察研究」に参加した54~86歳の女性約6万6000人を対象に、平均8.32年間にわたる追跡調査を行った。
その結果、7149件の「がん発症」が確認され、「閉経後に歯周病になると、発がんリスクが約14%上昇する」とする大規模研究の成果を、米がん学会(AACR)の学会誌『Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention』8月1日号に発表した(HealthDay News 2017年8月1日)。
[an error occurred while processing this directive]発表によれば、特に歯周病になった人が食道がんを発症するリスクは、歯周病でない人よりも3.28倍も高かった。また、肺がん、胆嚢がん、メラノーマ、乳がんでもリスクが上昇していた。
また、喫煙歴と歯周病と発がんリスクの関連も認められた。喫煙歴があり、歯周病になった人は、乳がん、肺がん、胆嚢がんの発症リスクが高かった。一方、喫煙歴はないが、歯周病になった人は、メラノーマなどのがんの発症リスクが高かった。
研究を率いたWende氏は「今回の研究結果から、口腔の衛生を保ち、歯周病の予防や治療を行うことががん予防策として有効かどうかを検証する必要性が示唆された」と指摘している。
ただ、今回の研究は、直接的な因果関係を証明するものではなく、歯周病が発がんリスクに関連する明確な根拠は明らかでない。
だが、Wende氏は「歯周病は全体的な健康を表す指標だ。ただし、歯周病菌が口腔内の組織から血流に侵入したり、消化器や呼吸器を介して他臓器に到達したりした結果、局所または全身の炎症を引き起こしている可能性がある」と推測する。
歯周病に詳しい米ノースショア大学病院歯科部長のRonald Burakoff氏は「対象者の報告に基づいた評価のため、歯周病とがんの関連性の程度は不明だ。だが、歯周病を治癒できれば発がんリスクを低減できる可能性があるので、歯みがき時の出血など、歯周病の症状に注意してほしい」とアドバイスしている。