骨密度が低下した人でもトレーニング次第で回復(depositphotos.com)
骨粗鬆症は、高齢者にはよく見られる症状で、とくに女性に多い。ある報告によると、50代の女性の3人に1人が骨粗鬆症だといわれている。
しかしながら、以前の記事(芸能人の骨折事故が続出! ビタミンDやカルシウムのサプリでは骨折は防げない!?)で紹介したように、最近は高齢者や女性に限らず、男性や若い人も骨が弱い人は増えている。
[an error occurred while processing this directive]中学生の骨折が40年前に比べ2.5倍に増加していることも、以前、お伝えした(40年前にくらべ中学生の骨折が約2.5倍に! 将来は骨粗鬆症にかかる可能性も)。
つまり、若いうちから「骨が弱い」と、高齢になってから骨粗鬆症に罹る確率は、より高くなるのだ。
そんな身近になりつつある病気だが、先日、『Journal of Bone and Mineral Research』で「骨粗鬆症のある閉経後女性の骨強度および身体機能を改善する高強度抵抗およびインパクトトレーニング:無作為化対照試験」という論文が発表された。
<低負荷のトレーニング>と<特別なトレーニング>で比較すると……
この研究では、「骨密度が低い」と診断された58歳以上の女性101名に対して、約8カ月間、追跡調査が行われた。
そして全体を半分に分け、1つのグループには「週2回に30分ずつ<低負荷のトレーニング(最大筋力の半分程度の力で10〜15回)>」、もう一方のグループには「週に2回、30分の<特別なトレーニング>」を行なってもらった。
その結果、後者のグループでは、機能性パフォーマンスと骨の密度、構造、強度が改善し、有害反応が起きることもないことが明らかになった。
気になる<特別なトレーニング>だが、論文によると、「58歳以上の女性に行うには大変ではないか」と思う内容である。
「最初の1カ月は身体を慣らすために、低負荷のトレーニングを行い、それができたら、特別な抵抗トレーニングに入る。トレーニング内容は、デッドリフト、オーバーヘッドプレス、バックスクワットの4種類を最大筋力の80%ほどの力で5回5セット行う」
「もし必要な場合は、最大の力の50%ほどで2セットのウォーミングアップを行っても良い」。さらに、インパクトトレーニングとしてジャンプ動作を行なっている。
もちろん、これら全てトレーニングは、理学療法士やトレーナーが厳密に管理し、ケガをしないように配慮されている。
以前から「ある程度、高負荷の運動が、骨密度の低下を防ぐ」ことは報告されてきたが、今回の報告では「骨密度が低下している女性に対しても効果があった」ということが新しい発見だ。
さらに、このトレーニングによって、バランス能力なども改善できたため、転倒による骨折なども防ぎ、一石二鳥である。