外国人旅行者による「医療費踏み倒し」が急増(depositphotos.com)
夏休みの行楽シーズンがスタート。連日の猛暑にもめげず、主要都市の駅や空港では外国人旅行者の姿を数多く見ることができる。
日本政府観光局(JNTO)の報道発表によると、「訪日外国人旅行者」は2012年から5年連続で増加し、2016年は2400万人を突破。そして、今年は4月ですでに900万人を超えている。
[an error occurred while processing this directive]2020年には東京オリンピック・パラリンピックを控え、訪日外国人旅行者の増加はまだまだ続きそうだ。
そんななか、外国人が日本滞在中にケガや病気で病院を受診するケースも増えている。それに伴い、ここ数年問題となっているのが「外国人旅行者の医療費未払い」。医療費を払わずに帰国するケースが増えている。
外国人旅行者の3割が無保険状態
観光庁の調査によると、旅行中にケガや病気になる訪日客は約4%。2400万人を突破した昨年は、単純計算で1日約2600人に上る。だが、旅行者全体の約3割は旅行保険に加入していないのだ。このことがトラブルの大きな要因になっている。
団体旅行は保険加入者が多いが、個人客は無保険が目立つという。また、クレジットカードを持っていなかったり、所持金が少ないなどの理由で、高額な医療費が払えずに踏み倒されることもある。
近畿運輸局が昨年に大阪府で実施した調査では、「訪日客を受け入れた病院の30%で未払いが発生」している。旅行保険に入っておらず全額自費負担となったため、救急病院にかかって1件で約800万円というケースもあった。
海外では、治療前に医療内容やコストを明示して同意を求める国も多いが、日本にはそうした慣習はない。そのため治療後に「ここまで治せといっていない」とクレームをつけて支払いを拒否する事例もあるという。
患者が帰国した場合、未収金の回収には大きな手間やコストがかかる。交渉のための通訳代や国際電話代、果ては大使館を通じて支払いを請求するなど、日本人が相手の場合に比べて業務は膨大だ。
国民の保険料や税負担に直接は影響ないが、こうしたケースが増えると病院経営を圧迫する要因になりかねない。