脳の過活動が不登校を生み出す?shutterstock.com
●今後の解明が待たれる小児慢性疲労症候群(CCFS)
理化学研究所(理研)が、小児慢性疲労症候群(CCFS)の患児の脳では、2つ以上のことを同時に進行するときに前頭葉が過剰に活性化し、非効率な脳活動状態となっていることを明らかにした研究が、9月10日付けのオンライン科学誌「Neuroimage: Clinical」に掲載された。
[an error occurred while processing this directive]CCFSは不登校の大きな要因とも言われるがその原因がはっきりしていない。30日以上疲労が続いたり、集中力障害、頭痛、腹痛、咽頭痛、複数の関節痛、睡眠異常、倦怠感、微熱、吐き気、めまいのなど複数の症状があると小児慢性疲労症候群と考えられる。
これまでは疲労による脳の活動の低下によるものとの見方があったが、研究グループによると、CCFS患児は脳の機能低下を補うために、むしろ脳を過剰活動させていると考えている。今後は、健常児の疲労およびCCFSにおける慢性疲労により引き起こされる前頭葉の過活動が疲労回復または治療により低減するかどうか研究を続けていくとしている。今回の研究により、疲労を緩和する治療法の開発の可能性も出てきた。
●北斗晶の影響で乳腺外来が大混雑
9月24日に乳がんで右乳房の全摘出手術を受けた北斗晶さんに関する連日の報道で、各地の乳腺外来が軒並み予約殺到としているとのこと。都内の有名なレディースクリニックでは、4カ月待ちの状態とか。当サイトでもマンモグラフィーに関する記事掲載されている。『定期的なマンモグラフィーが乳がんの「過剰診断」につながる可能性!?』『北斗晶さんの乳がん治療で再び議論される検診、受診する側の意識は!?』
乳がんの検診、特にマンモグラフィーに関しては、「JAMA Internal Medicine」7月6日号に、米ハーバード大学およびダートマス大学による研究で、定期的な乳がんスクリーニングが「過剰診断」の原因となり、一部の女性が不必要な治療を受けている可能性があるとの見解が掲載された。
この研究では、40歳以上の女性1,600万人の医療データをもとに、2000年に乳がんと診断された5万3,207人を10年間追跡し、マンモグラフィー実施率や乳がんによる死亡率を比較したところ、マンモをしてもしなくても死亡率に有意な差は認められなかったとしている。しかし一方で、米国がん協会(ACS)のRichard Wender氏は、これまでの研究ではマンモグラフィーによって40歳以上の女性の乳がんによる死亡率が少なくとも20%低減することが明らかだと主張する。
今後の乳がん検診の有効性の議論は続きそうだ。
●愛情ホルモン「オキシトシン」が自閉症治療に効果!?
“愛情ホルモン”として、このところ注目を集めているのが、脳内分泌物質の「オキシトシン」。そのオキシトシンが、「自閉症治療にも効果を発揮する可能性が期待できる」という実験データが今年9月、東大の研究チームによって英科学誌に発表された以来、各メディアが注目する。
知的障害を伴う重度の自閉症、アスペルガー症候群までの幅広い症状を含む自閉スペクトラム症にたいして有効な治療法となる可能性がある。
当サイトでも『自閉症状を改善させる「愛情ホルモン」! ヒトの“心理を操る”悪用も?』の記事を掲載している。
●新たな危険ドラッグ「笑気ガス」(亜酸化窒素)
英国で亜酸化窒素で9人死亡。新たな危険ドラッグの可能性と報じられている。当サイト連載『恐ろしい危険ドラッグ中毒』の筆者横山隆医師によると、「故意に笑気ガスを吸引した中毒患者は、今まで日本では認められてこなかった。笑気麻酔の際に術後も酸素投与を怠り、100%笑気を吸入した例での死亡事故が過去のあったものの、現在は笑気が使われる麻酔は、ほとんどなくなった」という。
さらに「ただ歯科では抜歯、ドリル研磨などにて酸素とともに吸入を行うことがあるが、笑気の濃度は極めて低い。イギリスの容器に入った笑気濃度は極めて高いことが予想されますが、これを長時間吸い続けると酸素欠乏状態になり、最悪の場合死に至るものと思われる」と説明する。