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【シリーズ「再生医療の近未来」第1回】

"再生医療"とは何か?~臓器再生から病気の原因究明、新薬の開発、細胞移植治療まで

京都大学iPS細胞研究所(同研究所のHPより

 事故などでケガをすれば身体の組織が大きなダメージを受ける。病気になると臓器が正常に働かなくなる。

 このようにケガや病気によって機能が失われた組織、心臓や肝臓などの臓器を、新しく再生した組織や臓器を作って元に戻す(修復する)こと。つまり、自分の身体から、幹細胞という何にでも変化できる万能細胞(ES細胞やiPS細胞)を取り出し、人工的に増やした後、組織や臓器に移植して、その機能や働きを回復させる医療――。それが再生医療の役割だ。

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ES細胞やiPS細胞は、どのような細胞なのか?

 ES細胞やiPS細胞は、受精卵や皮膚などの細胞を人工的に培養し、どのような組織や臓器にも成長できる多能性幹細胞(たのうせいかんさいぼう)だ。多能性幹細胞の多能性とは、無限に増殖できる能力(無限増殖能)と多種類の細胞に分化できる(多分化能)を合わせ持った細胞の働きをいう。

 ES細胞(胚性幹細胞)は、受精後6〜7日目の胚盤胞(はいばんほう)から細胞を取り出し、培養して作る多能性幹細胞だ。1981年、英国ケンブリッジ大学のマーティン・エバンス博士は、マウスの初期胚からES細胞を初めて作製した。

 2006年8月、京都大学の山中伸弥教授は、世界で初めてiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製に成功し、2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞した。山中教授は、皮膚などの体細胞に、ある特定の遺伝子(山中因子)を導入・培養し、様々な組織や臓器に分化する能力と無限に増殖する能力をもつ万能細胞を作った。それがiPS細胞だ。iPS細胞は、成熟した細胞を多能性を持つ状態に巻き戻す(初期化する)という画期的な発見だった。

ES細胞やiPS細胞は、どのように応用されているのか?

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