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【緊急掲載「日本のコロナ対応は政府の無能と凶暴を映す鏡」PART1】

厚労省医系技官の怠慢と政治家たちの甘い判断が生んだ醜悪な状況

この1年いったい、政府は何をやっていたのか?

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界と日本を直撃する中で、東京五輪・パラリンピック開催の是非が最大の問題として浮上している。安倍晋三前首相が政権の浮揚と自身の政治的野心のために招致し、菅義偉首相が開催に猛進する東京五輪は、今やコロナ禍にあえぐ日本と世界にとってもう一つの災害になりつつある。失策を繰り返す無能な日本政府と国際オリンピック委員会(IOC)は中止を求める声に耳を貸さず、強行する意志を固めている。これは安倍・菅政権の本質を浮き彫りにするものであり、国民と世界の人々の命と健康そして民主主義を破壊する許されざる蛮行だ。

政府の甘さに専門家が反乱

 5月14日、政府は失態を演じた。西村康稔経済再生担当相が同日朝、専門家らで構成する基本的対処方針分科会に群馬、石川、岡山、広島、熊本の5県をまん延防止等重点措置の対象に追加することを諮ったが、これに専門家が反発、北海道などに緊急事態宣言を発令するよう迫った。政府は専門家の考えを受け入れて当初案を取り下げ、北海道、広島、岡山に緊急事態宣言を、群馬、石川、熊本の3県に重点措置をそれぞれ適用することに改めた。期間は緊急事態宣言が5月16日から31日、重点措置が5月16日から6月13日までと決めた。
 
 これで緊急事態宣言の対象は4月25日に発令した東京都、大阪府、京都府、兵庫県と、5月12日から追加された愛知、福岡両県を合わせ9都道府県となった。
 
 そもそも分科会の尾身茂会長はこの日に先立つ12日、厚生労働省の専門家による「アドバイザリーボード」で感染力が強いコロナウイルスの変異株の拡大を懸念し、北海道、岡山、広島に緊急事態宣言を出すよう求め、「専門家の一致した見解だ」と主張したという。にもかかわらず、政府はそれを無視し、分科会で反発され、あっさり方針を撤回した。
 
 専門家を、いやコロナをなめているのだ。東京五輪を控え、できるだけ大事(おおごと)にしたくないという政治的思惑に基づいた甘い判断以外の何ものでもなく、専門家の反対に抗弁すらできなかった。
 
 菅首相は修正方針を決定した後の記者会見で「専門家の方々からより厳しい対応が必要との考えが示された。専門家のご意見も尊重し、今回追加の判断を行った」と釈明した。五輪については「国民の命と健康を守り、安心安全の大会を実現することは可能と考えており、準備を進めていきたい」といつもの決り文句を繰り返した。
 
 政策判断のミスを繰り返す菅首相によってコロナの感染拡大は止まらず、高レベルで推移する感染者数だけでなく、死亡者も急増し、日本のコロナ感染状況は五輪の開催スケジュールを前に収束などほど遠い深刻な状況だ。

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