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【連載「日本をリハビリテーションする」第5回:鶴巻温泉病院院長・鈴木龍太】

脳ドックで脳動脈瘤が見つかったらどうする 手術か経過観察かどちらが正しい?

たとえ未破裂脳動脈瘤が見つかっても不安をつのらせてはいけない(depositphotos.com)

  皆さんが「脳ドック」を受けて、「未破裂脳動脈瘤が見つかった」と言われたら、どうしますか? 開頭手術を受けるかどうか、血管内治療を受けるか、このまま様子を見るか、すぐに決められますか?

 人間ドックで「『がん』がありそうだ」と診断されたら、ほとんどの人は迷わず、治療を受けると思います。がんは、ほっておくと死に繋がる疾患だからです。

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 しかし未破裂脳動脈瘤は、必ずしも死に繋がりません。ほとんどの動脈瘤が10mm以下ですが、その場合、破裂する確率は、場所や大きさによって異なるものの、年間0.14〜3.19%です。

 50才の人が脳ドックを受けて脳動脈瘤が発見され、「年間の破裂率が1%だ」と言われたとします。80歳までに30%の破裂率です。70歳まで元気でいられれば良いと思っている人だったら、そのまま様子を見ようと思うかもしれません。近親者がくも膜下出血で亡くなったりした方は、すぐに治療してほしいと思うかもしれません。

 しかし治療にはそれなりのリスクがあり、本来元気だった人が、治療によって手足が麻痺したりする可能性が1.9〜12%あります。ガイドラインにありますが、「施設や術者の治療成績を勘案して」と言っても、どの施設が良い施設か、一般の人には分かりません。ドックの先生が紹介してくれるのでしょうか?

 そのように考えると、一般の人が判断するのは大変難しいものがあります。また「確率が〇○%だ」とか言われても、破裂するかしないかで考えると五分五分で、何年生きるかも分からないのに、混乱が深まるばかりです。つい「先生にお任せします」と言いたくなりますが、最近では「こういうことはご自分で判断していただくことが必要です」とか言って、答えてくれません。

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