「熱中症」で死に至ることも!(depositphotos.com)
総務省消防庁によると2020年7月13日~7月19日の1週間における熱中症による救急搬送人員数が1337人(速報値)であることを発表。2019年の同時期の熱中症による救急搬送人員数は1500人(確定値)だが、今後の発生状況には注意が必要だ、
2018年の分析データでは搬送された患者のうち65歳以上の高齢者が53.2%となっており、2020年7月13日~7月19日でも年齢階層別にみると乳幼児が0.9%、少年が13.5%、成人が28.6%、高齢者が56.9%と、やはり高齢者の熱中症が目立っている。地域別では愛知県の110人がもっとも多く、次いで大阪府の95人。
[an error occurred while processing this directive]死に至る熱中症の恐怖〜熱失神・熱痙攣・熱疲労・熱射病
熱中症。その恐ろしさを本当に知っているだろうか?
熱中症は「熱に中る(あたる)」と書く。熱環境によって生じる障害の総称。体内の水分、塩分、電解質(ナトリウム)のバランスが崩れ、体温調整機能が損なわれ、体内に熱がこもるために起こる体調不良だ。重症な病型である熱射病を起こし、適切な措置が遅れれば、 高体温から多臓器不全を併発し、死亡率が高まるので、決して侮れない。
熱中症は、4つに分けられる。
熱失神。炎天下にじっとしていたり、立ち上がったりした時、運動した後などに血管の拡張と下肢への血液貯留のために血圧が低下し、脳血流が減少して起こる。めまいや失神(一過性の意識障害)などの症状がある。足を高くして寝かせると回復する。
熱痙攣。大量の発汗があり、水のみを補給した場合に血液の塩分濃度が低下し、筋肉の興奮性が亢進するため、四肢や腹筋の痙攣と筋肉痛が起こる。生理食塩水(0.9%食塩水)など濃いめの食塩水の補給や点滴によって回復する。
熱疲労。脱水によって全身倦怠感、脱力感、めまい、吐き気、嘔吐、頭痛などの症状が起こる。0.2%食塩水、スポーツドリンクなどで水分、塩分を補給すれば回復する。嘔吐などで水が飲めない場合は、点滴などの医療処置が必要だ。
熱射病。脱水によって体温調節が破綻し、高体温と意識障害を伴う。意識障害は、周囲の状況が分からなくなる状態から昏睡まで程度は様々。血液凝固障害、脳、肝臓、腎臓、心臓、肺などの全身の多臓器障害を合併すれば、死亡率が高まり、危険だ。救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げられるかにかかっている。救急車を要請し、速やかに冷却処置を開始しなければならない。
熱中症が起こりやすいのは、気温が高く湿度が高い日や、風が弱く日差しが強い日だ。気温25〜30°C前後でも湿度が高いと発生しやすい。起こりやすい時間帯は、正午ごろと午後3時前後。梅雨明けで急に気温が高まった時や、汗が蒸発しにくいムシムシした屋内でも発生するので、乳幼児を車内に置き去りにするなどは要注意だ。
熱中症になりやすい人は、脱水状態の人 、高齢者や乳幼児、肥満の人、体調不良の人、運動不足の人、暑さに慣れていない人などだ。特に1人暮らしで、精神疾患、高血圧、糖尿病、認知症などの持病がある高齢者は、重症化しやすい。