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【シリーズ「これが病気の正体!」第12回】

【閲覧注意】胆嚢炎のなれの果て? 胆石で満ちた陶器のような胆嚢

胆石に「陶器様胆嚢」を伴うケース(画像はモザイク加工のもの)

 「胆石症」の痛みは、「尿管結石」「痛風」とともに「三大激痛」として古くからあげられているほどの激痛だ。

 痛みの原因となるのは、「胆嚢(たんのう)」にできたサイコロやおはじき、庭の小石のような物体。胆石は、胆汁成分が固まって(結晶化)起きる異常な状態である。

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 胆嚢の最も重要な役目は、胆汁を濃縮すること。そのため、ほとんどの胆石は胆嚢の中にできる。たまに、胆嚢外の胆管(肝内胆管や総胆管)に「石」ができることもある。

 「胆石」が疑われると超音波(エコー)検査で調べる。超音波をお腹に当てると、「石」のある部位で波が強く跳ね返ってくる。このエコー(反射波)をコンピュータ処理で画像化して診断するわけだ。

患者になってわかったツライ検査?

 超音波検査には、私自身のこんな思い出がある。昔、国際医療協力でケニアを訪れていたときのことだ。食べ物や飲み物に注意をしていたにもかかわらず、「A型肝炎」にかかってしまった。ウイルスに汚染された水や食品によって媒介される病気である。

 1週間以上続く高熱のあと、私立病院を受診して採血すると肝機能障害が判明。すぐに超音波検査が行われた。入院翌日の朝10時が検査の予定時刻。前日の夜8時以降の「禁飲禁食」を言い渡された。

 「素直な患者」は翌朝からじっと待っていたが、予定通り進まないのが「ケニアタイム」。11時、12時とむなしく時間が過ぎて午後に。熱があるので、のどがカラカラ状態で検査室まで足を運ぶが「もう少し待て」。結局、検査が行われたのは午後3時ごろ。

 超音波検査では端子をあてる皮膚に油を塗る。日本ではこの油は適度に温めてある。ところが、ケニアの病院の油の冷たいことと言ったら。脱水状態に近い39℃の高熱の患者には厳しかった……。

 ようやく検査が終わり、技師さんにかけられた言葉「肝臓が大きくてよかったね」に救われた。肝臓が腫大する普通の急性肝炎であることがわかったからだ。もし肝臓が小さかったら、「劇症肝炎」が考えられ、命にかかわる病態の可能性が高いからである。

 教科書的には、《超音波検査は迅速で「非侵襲的」である》とされる。だが、ときとして患者にとっては、とてもつらい検査である場合もある(笑)。よく考えると、何のための「禁飲禁食」なのか? 胆嚢に胆汁をたっぷり溜めた状態で検査したいからだ。

 しかし、肝臓の大きさをみるだけなら、水を飲んでも何の問題もなかったはず。患者になると、言われたことをよく守る、人は素直になるものだ。辛かったら、医療者にタイムリーに質問してみよう。

 話を胆石に戻すと、胆石の元になるのは、「ビリルビン」と「コレステロール」だ。胆石症の中でも、「ビリルビン結石」「コレステロール結石」があり、この2つがミックスした「混合型結石」がある。

 そして、まれに胆石に「陶器様胆嚢」を伴う場合がある。 

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