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【シリーズ「これが病気の正体!」第10回】

【閲覧注意】しこりから異臭が…… 皮膚にできた「扁平上皮がん」

扁平上皮がん

 皮膚にできる「扁平上皮がん」は、「有棘細胞がん」や「類表皮がん」とも呼ばれる。基底細胞がんや悪性黒色腫(メラノーマ)と並んで、皮膚に生じる代表的な悪性腫瘍(がん)である。

 発がんの要因には、紫外線をはじめ、放射線、慢性ヒ素中毒、石炭由来のタール、やけどの瘢痕、ヒト乳頭腫ウイルス(イボウイルス)などがあげられる。

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 「日光角化症」と呼ばれる<前がん病変>からの発がんが多い。日光角化症はその名の通り、日光露出部(頭部/顔面/手背など)に発生する高齢者の疾患だ。

 紫外線に長くさらされると生じるが、紫外線に弱い白人の皮膚にとくに多発し、黒人には少ない。高齢化に伴って、日本人にも増加している。

 一方で、日光(紫外線)とは関係なく、健常な皮膚にできることもある。ヤケドやケガが治った後の「瘢痕(はんこん)部」にできやすいのも、このがんの特徴だ。

 扁平上皮がんは、顕微鏡的に、正常の表皮細胞によく似た特徴を示す。正常な表皮は、顕微鏡的に重層扁平上皮細胞からなる。最表層で角質層(角化層)をつくり、外部からの刺激を受け止めるとともに、皮膚を保湿する役割を果たす。角質層は短時間で垢(あか)となって剥離してゆく。

 この表皮細胞から発生する扁平上皮がんは、角質形成(角化)が特徴だ。その程度に応じて、角化の強い「高分化型」、角化に乏しい「低分化型」とその中間の「中分化型」に分けられる。

 がんが進行すると、しばしば潰瘍が形成され、細菌の二次感染によって特有の悪臭を放つ。局所浸潤が強い割に、「転移」の頻度は低い。

 治療の第一選択は手術切除だ。放射線感受性が高いため、必要に応じて放射線治療が併用される。化学療法(抗がん剤)としては、塩酸ブレオマイシン(登録商標:プレオ)ないし硫酸ペプロマイシン(登録商標:ぺプレオ)が用いられる。

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