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乾癬(かんせん)重症化で2型糖尿病リスク上昇?メタボの人が発症しやすいのはなぜ?

乾癬を発症した肘(depositphotos.com)

 米ペンシルベニア大学皮膚科教授のJoel Gelfand氏らの研究チームは、「乾癬(かんせん)の重症度と2型糖尿病リスクとの関係」を調べた初めての研究成果を『Journal of the American Academy of Dermatology』11月8日オンライン版に発表した(「HealthDay News」2017年11月20日)。

 発表によれば、研究チームは、英国の成人の乾癬患者8124人と乾癬のない7万6599人を対象に、乾癬患者を体表面積に占める病変の割合(BSA:2%以下は軽症、3~10%以下は中等症、10%超は重症)で3群に分け、2型糖尿病の発症リスクを約4年間にわたって追跡調査した。

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乾癬が重症化すると2型糖尿病リスクが上昇か?

 その結果、2型糖尿病の発症率は、乾癬のない人2.44%(1867人)、乾癬患者3.44%(280人)だった。年齢や性、BMIを調整した解析の結果、乾癬のない人と比べて軽症の乾癬患者群(BSAが2%以下)は2型糖尿病リスクは21%、重症の患者群(同10%超)は64%それぞれ高かった。

 また、重症の乾癬患者は、BSAが10%増えるごとに2型糖尿病リスクは20%上昇した。この割合が20%の乾癬患者では2型糖尿病リスクは乾癬のない人と比べて84%高く、30%の患者では104%高かった。

 Gelfand氏らは今回の結果を世界中の乾癬患者に当てはめると、乾癬のない人と比べて乾癬患者では年間で新たに12万5650人が2型糖尿病と診断されると推計している。炎症によって表皮細胞の過増殖や角化異常が起こる免疫疾患である乾癬。米国の患者数は約750万人に上る。

 Gelfand氏は「これまでの研究で、乾癬における炎症はインスリン抵抗性を引き起こすことや、乾癬と糖尿病には同じ遺伝子変異が認められることなどが報告されている。これらの疾患は生物学的基盤が共通している可能性がある」と指摘する。

 また、Gelfand氏は「今回の知見は、従来知られている糖尿病のリスク因子とは独立して乾癬の重症度が2型糖尿病の発症リスクと強く関連することを示しているため、因果関係を示唆する強いエビデンスになる。乾癬患者は病変の大きさなどを定期的に確認することが重要。特にBSAが10%を超える重症患者は、2型糖尿病の予防にも留意する必要がある」とアドバイスしている。

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