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【連載「歯科医療の革命~顕微鏡歯科治療」第1回】

「顕微鏡歯科治療」とは何か?見過ごされていた奥歯の虫歯を顕微鏡で発見

顕微鏡歯科治療とは?(depositphotos.com)

 この連載は「歯」や「歯ぐき」を大切にしたい方に、ぜひ知っていただきたい「顕微鏡歯科治療」について、私の仲間にも手伝ってもらい紹介していきます。

 そもそも「顕微鏡歯科医って聞いたことがないが、何のこと? 」と思われた方も多いと思います。顕微鏡歯科医は、「顕微鏡歯科治療を専門として日常臨床を行なう歯科医」のことです。「えっ? だから、その顕微鏡歯科治療ってのが何か分からないんだよ!」 という声が聞こえてきそうですね。顕微鏡歯科治療とは、顕微鏡を駆使して患部を拡大し、よく見ながら行う歯科治療です。

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拡大率20~30倍で治療に大きな違い

 顕微鏡にはいくつもの種類がありますが、ここでいう顕微鏡は「臨床用実体顕微鏡」です。テレビ番組で、脳外科や眼科で手術する場面には必ず出てくるので、見覚えのある方も多いことでしょう。最近放送された人気ドラマ『コード・ブルー』でも山下智久さん演じる藍沢先生が顕微鏡を使って脳外科の手術していました。

 中学や高校のとき、理科の授業で顕微鏡を使って細胞などを見たことがあると思います。これは一般に「生物顕微鏡」と呼ばれ、最高倍率は1000倍に達するものもあります。観察物を薄くスライスして、プレパラートに乗せ、レンズをギリギリまで近づけて観察します。

 これに対して「臨床用実体顕微鏡」は、観察物をスライスせず、観察物から30センチほど離れたところから、20~30倍に拡大して観察するのが特徴です。

 この倍率を「わずか20~30倍か、大したことないな」と思われる方もいるでしょう。しかし、口の中での20~30倍は十分な倍率なのです。しかも、生物顕微鏡は「観察するだけ」。臨床用実体顕微鏡は、観察物から30センチも離れた状態で「観察するだけでなく治療することもできる」のです。この「見ながら治療できる」ことが顕微鏡歯科治療の最大のメリットです。

 歯科治療のほとんどは、目で直接見て行う外科処置です。「顕微鏡を歯科治療に用いること」が、診断、技術、さらには患者さんとの関係に至るまで、歯科治療に革命を起こしたのです。

見過ごされていた奥歯の大きな虫歯

 実際の患者さんの例をご覧いただき、顕微鏡歯科治療の有効性を感じていただきたいと思います。

「写真1」

 患者さんは若い女性でした。親知らずがあり、大学受験前に痛んだりすることが心配で、抜歯を希望して近隣の歯科医院を受診しました。そこでは親知らずの抜歯について大学病院を紹介され、その他の歯には「特に問題はない」との診断を受けました。本人は少し安心したものの、心配したお母さまと一緒にセカンドオピニオンを希望されて当院を初めて受診しました。

「写真2」

 「写真1」は、その際の口の中の様子です。ブラッシングも頑張っていて口の中はとても清潔、一見すると親知らずの他には問題はなさそうに思われました。しかし、左上の奥歯を顕微鏡で拡大して観察してみたところ、一番奥の歯と手前の歯の間に大きな虫歯の入り口が見つかったのです(「写真2」)。

 お二人とも私の診断に大変驚いていらっしゃいましたが、治療の必要性と緊急性に同意していただきさっそく治療を開始しました(「動画1」) 。

「写真3」

 歯の表面には穴もなく、虫歯があるようには見えないのですが、表面を少し削るとその下に大きな虫歯が広がっていました(「写真3」)。

 この虫歯はとても深く、「歯髄(一般的には「神経」と呼ばれています)」の一部まで進行していましたが(「写真4」)、顕微鏡を使った特殊な治療法Vital Pulp Therapy により歯髄を保存してムシ歯を治療することができました。痛みもなく終えることができたので、ご本人はもとよりお母さまにもとても喜んでいただきました。

「写真4」

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