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【インタビュー「カウンセリングでアトピーを治す!」第2回:須階富士雄医師(芝皮フ科クリニック院長)】

アトピーの元凶は「スキンケアの常識」!「肌に優しい洗顔料」など存在しない

「肌に優しい洗顔料」など存在しない(depositphotos.com)

 起床後に洗顔料で顔を洗い、化粧水や乳液といった基礎化粧品をつける。出かける前に化粧をする。帰宅後に化粧を落とし、入浴中に洗顔料で顔を洗う。おふろ上がりと寝る前に、基礎化粧品などを塗る……。これが多くの女性の習慣である。

 「こんな生活では、皮膚のバリア機能が破壊されます」と須階富士雄医師(芝皮フ科クリニック院長)は苦い顔だ。女性たちの「スキンケアの常識」が、皮膚科医の目には「皮膚のバリア機能を破壊する非常識な行為」に映るようだ。問題点はどこにあるのだろうか?

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そもそも「皮膚の仕組み」は?

 最初に「皮膚の仕組み」を簡単におさらいしよう。

 人間の皮膚の表面にある表皮には、4つの層がある。いちばん下の「基底層」で作られた「角化細胞」が「有棘層」と「顆粒層」を経て「角質層」に到達し「角質細胞」になる。角質細胞は2週間ほどで垢になってはがれ落ちる。これが新陳代謝だ。

 角質層をブロック塀にたとえると、角質細胞はブロックのように積み上がっている。そして、角質細胞の間をセメントのように埋めているのが「細胞間脂質」だ。さらに、皮脂と汗が混ざってできた「皮脂膜」が、角質層をカバーしている。こうした構造で外部からの異物の侵入や、内部からの水分の蒸発を防ぎ、皮膚のバリア機能を発揮する。

 「新陳代謝が行われている皮膚は、そもそも洗う必要がないのです。それなのに、何度も洗うから皮脂膜が形成されなくなっています」と須階医師は語る。

「肌に優しい洗顔料」は存在しない

 洗顔料の主成分である「界面活性剤」は、水と油をなじみやすくする物質だ。界面活性剤の問題点について「細胞間脂質のセラミドなどは、界面活性剤で流出します。その結果、角質細胞がはがれ落ちてしまうのです」と須階医師は指摘する。

 「洗顔後もしっとり」する洗顔料もある。しかし、「洗い流した後も界面活性剤の作用が残って、細胞間脂質が溶け出すからしっとりと感じるわけです。そもそも、『肌に優しい洗顔料』は存在しません」と須階医師は断言。界面活性剤は乳液・クリームにも配合されている。基礎化粧品も、皮膚のバリア機能を破壊しているのだ。

 体も洗いすぎれば皮膚のバリア機能を破壊される。その結果、カサカサに乾燥したり、外部から異物が侵入してかゆみが生じたりしやすくなる。まさにアトピー性皮膚炎の症状だ。

 「アトピーはもはや子どもの病気ではなく、40代、50代の患者さんが増えています。アレルギーより、誤ったスキンケアによるバリア機能の低下のほうがアトピーに大きくかかわっている証拠だと言えます」

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