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【連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第33回】

ギョウジャニンニクに酷似した「イヌサフラン」による食中毒で今年も死者が!

左がギョウジャニンニクで右がイヌサフラン(写真提供:富良野保健所)

 今年(2017年)5月15日、北海道富良野地方に住む母親と娘夫婦が、ギョウジャニンニクを採集するつもりが誤ってイヌサフランの葉を持ち帰り、家で炒めて食べ、下痢や嘔吐を訴えて翌日病院に救急搬送された。80歳代の母親は、摂食後、2日目に急死。富良野保健所は、イヌサフランに含有するコルヒチンによる食中毒死と診断している。

 また2016年4月には、同じく北海道旭川市で、イヌサフランをギョウジャニンニクと誤認して食べた75歳男性が、下痢や嘔吐などを訴えて病院に搬送されたが、その2日後に死亡した。

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 それ以前にも、2014年9月に静岡県で、70歳代の男性がギョウジャニンニクと間違えて自家栽培していたイヌサフランを食べて死亡。2013年には石川県と北海道札幌市で、それぞれ1名が誤食して中毒症を呈したが、幸い命はとりとめている。さらに2007年には、新潟県で50代男性が、摂食後、数日で多臓器不全にて死亡している。

イヌサフランには猛毒のコルヒチンが、花、茎、球根など全てに含有

 イヌサフランは、アヤメ科のサフランとは異なり、ユリ科の植物である。花、茎、球根など全てに猛毒であるコルヒチンを含有しており、この化学物質は鎮痛作用があるため痛風薬として販売・処方されていた。しかし最近では、下痢、嘔吐、低血圧などの副作用が強いため、処方量は減少傾向にある。

 イヌサフランの実を2g食べただけで、含有するコルヒチンによって死に至ることがある。食後、数時間で、下痢、嘔吐、腹痛などを訴え、大量摂取した時には2~3日後に錯乱、昏睡、けいれん発作、肝不全、低血圧、不整脈、急性腎不全、さらに肺炎、敗血症などの感染症を併発し、死に至ることも多い。

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