「ショッキングな愛の物語」は「タイトル未定」のまま!(元『サヨナラ、きりたんぽ』の番組HPより)
4月改編の連続ドラマに、当初、テレビ朝日が公表したタイトルは『サヨナラ、きりたんぽ』(日曜深夜0時40分~)というものだった。ところが、発表直後に改題を余儀なくされ、現在(3月13日時点)も番組HP上では「未定」となっている。
[an error occurred while processing this directive]それは初耳という方はいったい、その「消えたタイトル」から、どんな物語を連想なさるだろうか?――新年度を機にダイエットを英断したヒロイン(もしかしたら秋田出身とか!?)が、大好きな郷土料理との決別を誓う。もしや、食テロ活況の深夜枠に、敢えてアンチ系の脚本をぶつけたとか……。
どちらの連想も不正解だ。「サヨナラ」は成敗劇の内容を示唆し、きりたんぽの「きり」は「切り」、「たんぽ」は暗に「男性器」の隠語的響きを込めているという。
ソレってなんか、阿部定事件っぽくない!? 『愛のコリーダ』テレビ版!? 最近もそんな猟奇事件がなかったっけ……。世代によって反応はさまざまだろうが、どれも正解といえば正解だ。
ちなみに、「きりたんぽ」の「たんぽ」とは「槍の刃の部分の鞘(さや)」のことで、棒に巻きつけた形がそれに似ていることから「たんぽ」と呼ばれ、鍋に入れる際に切って入れることから「切りたんぽ」とされたという。
秋田県観光戦略課の抗議に「タイトル変更」
企画・原作:秋元康、主演:渡辺麻友(AKB48)のこの話題ドラマ。情報公開時の番組サイト上では、ヒロインが自分を裏切ったオトコの局部を切断するなどして「成敗」するという内容が紹介され、補足的に昭和11年に起きた激愛猟奇事件(通称・阿部定事件)にも言及していた。
しかも、あの「まゆゆ」が男性器切断を……となれば、話題を集めるのは必至。いささかエグいというかグロいというか、本人も事務所もよく引き受けたものだ。そんな反応が大勢なのも、さもありなん。
ところが、渡辺さん本人は意外にもノリノリでこんなコメントを寄せていた。「私が平成の阿部定?! いままで演じたことのない役柄です! 私自身も大きな挑戦となります」。
快諾までの裏側はどうであれ、衝撃的内容も含むドラマ・ヒロインを引き受けた現役アイドルの公式見解としては、取り立てて問題化するものではない。
だが、前掲の「タイトルそのもの」に物言いがついた。巷の尺度から見れば「それはそうだろう」と誰もが膝を叩くような抗議。タイトル公表後の3月7日、テレ朝側に口頭で抗議したのは、秋田県観光戦略課あきたびじょん室だった。
『サヨナラ、きりたんぽ』のタイトルとその由来、ドラマの内容とヒントの源流が番組HPに掲載されて以降、それを読んだ県民を中心に「なんとも下品で不快極まりない」という異口同音の批判意見が県庁をはじめ、る鹿角市(きりたんぽ発祥の地)、大館市、北秋田市の市役所にも多く寄せられたのだ。
これらの声々を背景に同室は「郷土料理のイメージダウンにつながる」と抗議し、テレ朝側からは「タイトルを変更する」という回答を当日中に得た。これが改題騒動の経緯だが、HP上では「連続ドラマ タイトル未定」の迷走状態が続き、出典に等しき「阿部定」云々も削除された。