喫煙はそれだけで十分に健康に悪いが、糖尿病が加わると早期死亡リスクがさらに高まる――。糖尿病をもつ喫煙者は、非糖尿病の喫煙者に比べて早期死亡リスクが2倍にアップするという。
米コロラド大学アンシュッツ医学キャンパス放射線科教授のKavita Garg氏らが行った研究で示された、新たな知見である。
[an error occurred while processing this directive]この研究は「全米肺検診試験(National Lung Screening Trial;NLST)」の参加者5万3000人強を対象に行われた。
NLSTは、現在喫煙中あるいは過去に喫煙歴がある肺がんリスクが高い人を対象に、肺がんスクリーニングにおいて低線量CTと胸部X線のどちらが優れるのかを検討したものだ。
参加者の約1割に当たる5000人以上が糖尿病にかかっており、非糖尿病者に比べて高齢で、喫煙本数が多く、体重が重い傾向がみられた。
女性の糖尿病患者では肺がんの死亡リスクが80%高く……
研究チームは、肺がん、その他のがん、全死亡のリスクをそれぞれ分析。約7年間の追跡期間中に4000人近くが死亡し、このうち1000人強が肺がん、800人強がその他のがんによる死亡だった。
追跡期間中の死亡率は、糖尿病をもつ喫煙者の12.6%に対し、非糖尿病の喫煙者では6.8%。糖尿病患者では、非糖尿病者に比べて早期死亡リスクが約2倍だったのだ。
さらに、女性の糖尿病患者では糖尿病のない女性に比べて、肺がんによる死亡リスクが80%高いことも判明した。
一方で、男性では、糖尿病患者が喫煙すると早期死亡リスクの増加と関連したが、肺がんによる死亡リスクとの関連は認められなかったという。