歯周病は口臭の最大の原因(shutterstock.com)
30歳以上の約8割が罹患しているといわれる「歯周病」。ポピュラーな病気とはいえ、口臭の原因となったり、ひどくなると歯が抜けたり、さらには全身に影響を及ぼすこともある。
乳酸菌は、そんな歯周病を予防したり虫歯を防ぐ効果があることも認められている、オーラルケアにも強い味方だ。
[an error occurred while processing this directive]口臭の最大原因である「歯周病」は怖い病気
口臭には、いろいろな原因がある。ニンニクやニラなど臭いの強いものを食べたり、虫歯、消化器系の病気、糖尿病など全身の病気が原因となることもあるが、最も大きな原因となるのは歯周病だ。
歯周病は、口内の細菌感染によって引き起こされる炎症性の疾患。厚生労働省の調べでは、20歳代の7割、30~50歳代の8割、60歳以上にいたっては9割が罹患しているとされている。
このように多くの人が罹患している病気だが、実は決してあなどってはいけない。歯周病は、歯と歯肉の境目に細菌が停滞し、歯肉が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりする。進行すると「歯周ポケット」とよばれる歯と歯肉の間に深い境目ができ、歯がグラグラ動くようになり、やがて歯が抜け落ちてしまう。
さらに最近の研究では、歯周病の原因となった菌や病原因子などが血管を通じて身体中にまわり、心疾患や糖尿病、誤嚥性肺炎など全身の疾患にも影響を及ぼすことが解明されてきた。歯周病は虫歯と違って痛むわけではないから放置しがちだが、進行すると実は命にもかかわる危険な病気なのだ。
歯周病を引き起こすのは口の中に住む細菌だ。その数は、約300~500種類、約60億個。これらの菌は、腸の中と同じく乳酸菌をはじめとする「善玉菌」と、歯周病を引き起こすジンジバリス菌のような「悪玉菌」に分けられる。
このような悪玉菌は、歯と歯茎の間で食べ物のカスをエサに増殖し続け、歯周ポケットを形成する。その際、メチルメルカプタンやインドールなどの臭気物質を排出し、それが強い口臭を放つこととなる。
歯周病の進行を防ぐためには、口の中の善玉菌である乳酸菌を増やせば有効であることが、いろいろな実験で証明されている。
たとえば、歯周病の原因菌となる代表的な悪玉菌の3種類に乳酸菌LS1を加えて培養したところ、24時間で3菌ともほぼ死滅したという報告がある。また、57名の被験者に乳酸菌LS1を毎日服用してもらったところ、4週間後、歯周病の原因となる菌数は20分の1に減少。口臭測定装置で口臭があると判定された20名の被験者は、乳酸菌服用後8週間、3分の2は口臭が消失、口臭が残っているとされた残り3分の1の人たちも明らかに口臭の減少が認められたという。