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【インタビュー「女性に多い膠原病とは何か?」第2回 東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター 田中栄一医師】

風邪と間違われやすい膠原病 38度以上の高熱、関節の痛みや朝起床時の手のこわばりがあったら要注意!

発熱も膠原病の特徴(shutterstock.com)

 女優で作家としても活動する酒井若菜さんが、今年2月に上梓した対談&エッセイ『酒井若菜と8人の男たち』(キノブックス)で、膠原病を患ったことを告白した。酒井さんの告白で、にわかに脚光を浴びた膠原病は、患者の大半が女性だ。東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターの講師・医局長の田中栄一医師に、膠原病とはどのような病かを解説してもらった。

多彩な症状を呈する膠原病

――前回は、女性に圧倒的に多いという膠原病の特徴と原因について教えてもらいました。では、具体的な膠原病の症状には、どのようなものがありますか?

 前回もお話ししたように膠原病は「リウマチ性疾患」ですので、骨・関節・筋肉・腱などに痛みやこわばりが起こることが多いです。具体的には関節の痛みや朝起床時の手のこわばりなどは膠原病の代表的な症状の1つです。膠原病のうち、最も知られている病気に、関節リウマチがあります。関節リウマチについては後ほどお話しします。

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――関節の症状以外の膠原病の症状についても教えてください。

 関節痛以外の代表的な症状として発熱があります。37度台の微熱もあれば、38度以上の高熱が続くこともあります。当初は風邪だと思って、近所で処方された風邪薬を飲んでいても一向に熱が下がらない、しかも高熱が2〜3週間以上続くような場合などで、結局、入院し専門医のもとで精査をした結果、最終的な診断が膠原病であったというケースもあります。通常の風邪薬などで治らないような持続性の発熱があった場合には、総合診療科や膠原病・リウマチ内科の受診をお勧めします。38℃を超えるような高熱を来たす膠原病の代表的な病気が、全身性エリテマトーデス(SLE)です。

――では、全身性エリテマトーデス(SLE)についてももう少し詳しく教えてください。

 全身性エリテマトーデス(SLE)は、閉経前の20〜40歳代の女性に好発する全身性慢性炎症性疾患で、自己免疫性疾患の代表です。日本全国に6万人以上の患者さんがいると考えられています。発熱、全身倦怠感などの全身症状と、関節、皮膚、内臓などのさまざまな臓器の障害が一度に、あるいは次々に起こってくる病気です。

 皮膚の症状としてもっとも有名なのは、頬に出来る赤い発疹(頬部紅斑)であり、蝶が羽を広げているような形をしているので蝶型紅斑(ちょうけいこうはん)とも呼ばれています。光線過敏症、口内炎、脱毛、関節炎などが生じることもあります。 臓器障害としては様々なものが知られており、血球減少症、胸膜炎、心膜炎、腎炎、精神神経障害などがあります。ただし、これらすべての症状が皆に起こるわけではなく、患者さんによって、出てくる症状や障害される臓器の種類や程度が異なります。

 血液検査では、一般的に「抗核抗体」が陽性となり、そのほか、抗DNA抗体や補体などに異常値が出ることがあります。

 治療の基本はステロイドによる薬物治療ですが、最近では、ステロイドの使用をなるべく少なくするように、免疫抑制薬を併用するのが一般的です。現在は、さらにいくつかの新規の薬剤(免疫抑制薬)も使用されることができるようになっており、徐々に治療は進歩している病気です。

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