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【連載「乳酸菌で腸内環境を改善、がんも予防!」第11回】

乳酸菌で「アトピー性皮膚炎」が改善〜アレルギー予防には“小腸の免疫アップ”

乳酸菌はアトピー性皮膚炎の改善にも効果が(shutterstock.com)

 年々増え続けるアレルギー有病率――。日本人の2人に1人はなんらかのアレルギー症状に悩まされているというデータもある。なかでもアトピー性皮膚炎は、はっきりした原因が特定されておらず、なおかつ確実な治療法が見つかっていない。

 しかし、乳酸菌をとり続けることでそんなアトピー性皮膚炎も改善が期待できる。

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小腸の腸管免疫を高めることがアレルギー予防に

 人の体にはもともと、害になる細菌やウイルス、物質などを排除するための免疫システムが備わっている。もちろん、これは体を守るためだが、この免疫システムが食物や花粉といった物質にまで過剰に反応すると、様々なアレルギー症状をひき起こす。

 まず、外部から侵入してきた物質(抗原)に対して対抗する物質(抗体)を作って、抗体が抗原を攻撃することで、体に病気が起こるのを未然に防ぐことができるのが免疫だ。

 アレルギーは、抗体が抗原に過剰に反応して体に不快な症状を起こしたり、花粉症やアトピー性皮膚炎、そのほかいろいろな病気の原因となる。なぜ、本来無害であるはずの特定の物質に過剰に反応してしまうのか、そのメカニズムは十分にはわかっていない。

 ただ、全身の免疫細胞の約60%が集まって異物から細胞を守る役割を果たしている小腸の腸管免疫を高めることが、アレルギーの予防に効果があることは解明されてきている。

 人間が食事をするときには、口から食物とともに様々な細菌や微生物が入り込んでくる。口や胃、腸からはそのような細菌や微生物を排除するための殺菌酵素を含む粘液が分泌されるが、それらの第一関門が突破されたとき、マクロファージなどの免疫部隊が出動して細菌と戦うことになる。

 そのような事態に備えて、小腸にはバイエル板というリンパ節の集合体があり、その下の腸管膜リンパ節には、多くのリンパ球やマクロファージが待機している。小腸のバイエル板はまさに免疫の総司令部といえる器官なのだ。

腸管免疫を高める作用でアレルギーの予防・改善へ

 第一関門を突破した細菌やウイルスは、体内をパトロールしているマクロファージをはじめとした免疫部隊に発見され、情報の司令塔であるヘルパーT細胞に伝えられる。ヘルパーT細胞は、任務に最適な免疫細胞や抗体に対して、攻撃命令を下す。

 花粉症の回(連載・第10回)で説明したように、ヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞の2種類があり、Th1細胞は主に感染などを予防する細胞性免疫を担当し、Th2細胞はアレルギーを引き起こす液性細胞を担当している。

 このヘルパーT細胞がバランスよく働いている分には問題がないが、何らかの原因でTh2細胞の働きが強くなると、アレルギーが発症する。

 悪玉菌が多くなった腸では、Th1細胞よりもTh2細胞が優勢に働くことが知られている。乳酸菌は、腸管免疫を高め、腸の善玉菌を増やす役割を果たす作用があるため、アレルギーの予防や改善に役に立つ。

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