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【シリーズ「冬こそ注意したいちょっとした病気の兆し」第2回】

冬季型うつ病「季節性感情障害(SAD)」に注意! 5つの予防対策でメンタルケアを心がけよう

SADは日照時間が少ない地域で発症率が高い(shutterstock.com)

 10~11月頃に憂うつな気分が始まり、2~3月頃まで続くのが、冬季型うつ病の季節性感情障害(SAD/Seasonal Affective Disorder)だ。

 季節性感情障害は、冬季を中心に発症し、北米、北欧などの日照時間が少ない高緯度地域の発症率が高いため、日照時間や遺伝的な光感受性が原因といわれる。アメリカならワシントン州のシアトルの患者数が急増し、イギリス、フィンランド、ロシアなどでも一気に増える。女性に多発しやすいが、日本人の発症率は1~3%と欧米人に比べてやや低い。

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 季節性感情障害は、脳機能障害のひとつで、倦怠感、気力の低下のほか、過眠、過食などの兆候が強くなる。不眠や食欲減退に陥る一般的なうつ病とまったく逆の症状を示すことが多い。発症すれば、毎年繰り返すのが特徴だ。

朝陽を浴びよう!歩こう!青魚を食べよう!ストレスを解消しよう!

 予防対策はないのか?

 第1は、毎朝朝陽を浴びることだ。10~30分程度でも朝陽を浴びると、2000ルクスもの強烈な光によって、心身を活性化させる脳内物質のセロトニンの分泌が促されるので、体内時計がリセットされる。同時に、脳内の松果体から分泌される睡眠ホルモンのメラトニンが約14~15時間後に分泌され、体温、呼吸数、脈拍数、血圧を低下させるために、夜の9時~11時ころに眠くなる。朝陽を浴びるだけで、規則正しい起床と睡眠のサイクルを繰り返す習慣が身につく。

 第2は、朝食をしっかり食べることだ。よく噛んで朝食を摂れば、セロトニンの分泌が促される。ご飯、納豆、豆腐、チーズトースト、ヨーグルト、緑黄色野菜、バナナ、豆乳、牛乳、肉類、赤身魚などは、セロトニンを作る必須アミノ酸のトリプトファンを豊富に含んでいる。

 乳幼児約600名を対象にトリプトファンの量と寝つき・寝起きの関係を調べた調査によれば、朝にトリプトファンを300~400mg摂っている乳幼児は、寝付きも寝起きも良好という結果が出ている。100g当たりのトリプトファンの含有量は、白米89mg、納豆242mg、プロセスチーズ291mg、ヨーグルト47mg、バナナ10mg、豆乳53mg、牛乳42mg、肉類150~250mg、赤身魚200~250mgなどだ。

 また、サバ、アジ、イワシ、カツオなどの青魚にふんだんに含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、ビタミンDは、セロトニンを活性化することから、うつ病に罹りにくい。

 第4に、少し早起きしてリズム運動を習慣化することだ。ウォーキング、ジョギング、階段の昇り降り、犬の散歩などでも、セロトニンの分泌が進む。リズム運動を始めると、およそ5分でセロトニンの濃度が高まるので、毎日20~30分程度の運動を心がけよう。

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