病原菌の有無で英色が変わる絆創膏(写真:UNIVERSITY OF BATCH)
傷口を覆い、もし悪い病原菌に感染している場合は「色」が変化して判別可能となる革新的な絆創膏が開発された。このカメレオンの特性を連想させる理想の絆創膏を共同で編み出したのは、英国・バース大学とブリストル王立小児病院の研究者たちだ。
病原菌に感染した傷口は治るのが遅れ、傷跡も残しやすく、敗血症という深刻な事態に繋がる場合もある。最悪、死に至る可能性もありうるが、難儀なのは感染の有無の判断だ。
[an error occurred while processing this directive]感染の診断は長ければ48時間も要するとされ、子供相手の場合などには予防目的の暫定処置として抗生物質を投与することも珍しくない。しかし問題は、そのタイミングだ。薬を投与することで細菌が耐性を持てば、むしろ事態を悪化させかねないリスクを負ってしまうからだ。
変色絆創膏と絆創膏状体温計が誕生!
はたして感染しているのか否か、抗生物質を投与すべきか否か……。その判断を変色によって教えてくれるという一目瞭然な絆創膏。これは目に見えないほど微細にして局所での薬物の持続的放出が可能な「ナノカプセル」に蛍光色の緑色の染色剤を仕込んだものだとか。
このカプセルの特性は、病原菌が分泌する毒素と接触した時のみ活性化(穴が開いて破裂)するという点。つまり、普段から皮膚に存在している無害なバクテリアでは破れず、有害な細菌を感知した場合だけ破れて蛍光色の緑色が顕在化するという次第だ。現時点の研究では3種類の病原菌に対して変色し、無害な細菌には無反応との結果が報告されている。
この賢い絆創膏が実用化されれば、無駄な投与と悪化が阻まれ、変色の際は抗生物質で効果的な治療を即決できる。現在のプロトタイプから臨床試験が開始されるのは2018年の見込みというが、医療現場を経て医薬(部外)品として販売される日もそう遠くないのでは?
救急絆創膏は1921年、米国ニュージャージー州のアール・E・ディクソン氏が考案した「バンドエイド」が源流とされるが、改良に改良を、競合に競合を重ね、凡そ100年を経ての「変色絆創膏」登場は身近な朗報だけになんだか喜ばしい気がしないでもない。