ちょっとした待ち時間は必ずスマホGraphs/PIXTA(ピクスタ)
腰痛、肩こり、糖尿病……。生活様式の変化とともに“現代病”ともいえる疾患が生まれる。「テキストネック」という疾患をご存知だろうか。
最近、米国を中心に注目されている疾患だ。その名から想像できるように、スマートフォンでの操作(メールなどのSNSで文字を入力すること)のやりすぎによって、頸部の形が変形してしまう、というものだ。いわゆる「スマホ首」だ。
[an error occurred while processing this directive]私たちの周りでは、スマホをいじる姿を見かけない日がないほどだ。立ちながら、あるいは座りながら……。どの姿勢でも、画面をのぞきながらうつむく角度で首をかしげている。このポーズは、頚部にとても大きな負担をかけているのである。
本来の頚部の形は、少し反り返った形をしている。この形が、頭部を支えるのに最適なのだ。約10kgもある頭部の重さをうまく分散させる役割を担っている。
だが、このテキストネックは、この”自然なカーブ"がなくなっており、それによって「椎間孔」という神経を通る隙間が狭くなってしまったり、椎間板と呼ばれる骨と骨の間にあるクッションの役割をしている組織が薄くなったりしている。
1年で約1400時間、頚部に異常なストレス
これらの原因は、スマホを扱う姿勢にある。米国での調査によると、スマホの台頭からその使用時間は「1日4~7時間にものぼる」という報告がなされたという。
もし仮に1日4時間スマホを使用しているとすれば、1年で約1400時間、頚部に異常なストレスをかけていることになる。これでは、何も異常が起きないというほうがおかしい。ある研究では、首を60°傾けると頚部への負担は6倍にもなることが報告されている。これでは当然、頭を支えることによる頚へのダメージは蓄積し続ける。