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【シリーズ「子どもの心と体の不思議のサイエンス!」第12回】

赤ちゃんはなぜ遊ぶのか? 発見と工夫をくり返しながら“脳”や“体”を発達させていく

6ヶ月ころの赤ちゃんは鏡の中の自分が認識できる(shutterstock.com)

 幼児期の赤ちゃんは、どんな風にしておもちゃと遊ぶようになるのだろう?

 生後数カ月頃なら、まず握ったり、触ったりして、興味津々の表情で形状を確かめている。上手に握れるようになれば、ガラガラや鈴のおもちゃを振って音を出す。積み木を打ち鳴らして音を立てたり、あれこれと動かして遊ぶようになる。

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 8〜9ヶ月頃になると、少しずつ遊び方に変化が見えてくる。たとえば、上手につかんだり、放したりできるようになれば、積み木をテーブルから落として、誰かに拾ってもらおうとしたりする動作を繰り返す。目の前から積み木が消えても、テーブルの下にあることをちゃんと知っている。それだけ記憶の働きが芽生えてきた何よりの証拠だ。

 落として拾ってもらうというやり取りを楽しんだり、人に渡したりしてコミュニケーションを取ろうとしている。やがて、「ハイ、どうぞ!」とお母さんに手渡して遊ぶようになるだろう。

 握ったり、つかんだり、放したり、落としたり、手渡したりしているうちに、遊びのバリエーションも増えてくる。たとえば、積み木で家や塔を作ってみたり、積み木を組み立てて、電車や車に見立てて遊ぶようになる。赤ちゃんは、おもちゃの種類が少なくても、想像力を働かせて、上手にごっこ遊びをしたり、遊びを工夫しながら、脳や体を発達させていく。

身近なモノを使って赤ちゃんと遊んでみよう

 このように赤ちゃんは、自分なりの発見をし、創意工夫をしながら、おもちゃと遊んでいるのが分かる。発達の段階に合わせて、新しい遊び方を見つけて、どんどんチャレンジし続けていく。

 赤ちゃんのおもちゃは、身近にたくさんある。お母さんは、いっしょに遊びながら、赤ちゃんの反応や動作がどのように変化していくか、どんな風に成長していくかを確かめてほしい。

 たとえば、鏡あそびでもいい。赤ちゃんを膝にだっこして鏡の前に座る。赤ちゃんは鏡に映っているのがお母さんと自分だと分かると、ちょっと驚いた表情をするが、すぐに納得して上機嫌になる。他人が分かる認識という脳の発達の大きなサインだ。

 鏡の中の赤ちゃんを見つめながら声をかけてみよう。すると、鏡の中のお母さんを見つめ返すようになる。これは、他人の視線をたどれるようになった何よりのサインだ。6ヶ月ころになれば、鏡の中に映っているのは自分の顔や姿だとはっきりと分かるようになるはずだ。不思議なので、鏡の後を覗いて、確かめる仕草をするかもしれない。

 鏡を突然、裏返しにして、赤ちゃんをびっくりさせたりして、遊んでみよう。赤ちゃんにとっては、何でもおもちゃになる。知育玩具、遊具、布絵本、キャラクターグッズ、楽器なども販売されているが、お金をかけなくても、口に入れたり、舐めたりして心配なモノ以外なら、何でもおもちゃになるはずだ。

 おもちゃに触れながら、赤ちゃんの脳も体も手先も、毎日成長を重ねているのだ。
(文=編集部)

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