変速ウオーキンでエネルギー消費量がアップ(shutterstock.com)
気軽に始められるスポーツとして近年、中高年を中心にウオーキング人気が高まっている。文部科学省が2013年に行った「体力・スポーツに関する世論調査」では、「この1年間に行ったスポーツ」としてウオーキングをあげた人が50.8%もいた。脂肪を効率的に燃やすことができることから、ダイエッターの女性たちの間でも注目のアクティビティだ。
だが、体重を減らすためには、ウオーキングといえども「少しきつく感じる速さで20分以上続ける」など、それなりに頑張らなければいけないイメージがある。疲れたからといって途中で休んだりすると、脂肪燃焼効果が減ってしまいそうな気もするが……。
[an error occurred while processing this directive]ところが、ウオーキングに関する最新の研究で驚くべきことが明らかになった。それによると、規則正しい歩調で歩き続けるよりも、こまめに速度を変えて、速歩きとゆっくり歩きを交えたり、立ち止まってまた歩き出すのを繰り返したりするほうが、脂肪を20%も余計に燃焼させることがわかったという。米・オハイオ州立大のグループが、学術誌『Biology Letters』に発表した。
スタート&ストップがカロリーを消費
あまり知られていないが、人が身体を動かし始めるときや動きを止めるときに消費するエネルギーは、1日の通常の生活動作で消費するエネルギーの約8%にもなる。だが一般的に、ウオーキングやスポーツ中のエネルギー消費量には、「スタート」「ストップ」することで消費する値は含まれていないため、過小評価されている傾向がある。オハイオ州立大学の研究グループは、その点に着目した。
今回の研究では、ウオーキングの最中に頻繁に歩行速度を変えたときの代謝コスト、いわゆるエネルギー消費量を測定。具体的には、一定の速度で動くトレッドミル(ルームランナー)の上で協力者たちに歩いてもらい、その間、速足でベルトの前方に出たり、速度を落として後方に下がったりすることを交互に行ってもらった。
その結果、「変速ウオーキング」では、同じトレッドミルを一定の速さで歩き続けた場合に比べて、最大で20%も多くのエネルギーを消費できることが判ったのだ。この研究を主導したNidhi Seethapathi氏は、「ウオーキングはどんな速度であってもエネルギーを消費するが、途中で歩行速度を変える動作は“車のアクセルを踏み込む”ようなもの。身体の運動エネルギーを変えるときは脚に負荷がかかるため、それが確実にエネルギー消費量を増加させる」と述べている。
従来ウオーキングの運動効果を検討した研究は、一定のスピードで歩行するものがほとんどだった。今回の知見は、これらをさらに進化させるものになるだろう。研究著者の1人であるManoj Srinivasan氏も「人はトレッドミルの上で生活しているわけではなく、ずっと同じ速さで歩いているわけでもない。歩行速度を変えた際の代謝エネルギーコストは、とても重要な指標になるはずだ」と分析している。