がんサバイバーが安心して働ける社会を (shutterstock.com)
1981年以降、悪性新生物、すなわち「がん」が、日本人の死因トップの座に居座り続けている。
厚生労働省の人口動態統計を見ると、平成25年、がんによる死亡者数は36万4721人。2位の心疾患(19万6547人)と3位の肺炎(12万2880人)の合計(31万9427人)よりも多い。全死亡者の28.8%、3.5人に1人が、がんで亡くなっていることになる。また、国立がん研究センター・がん対策情報センターの総合サイト「がん情報サービス」によると、2015年の予測がん罹患数は98万2100(昨年より10万件増)。予測がん死亡数は37万900人(昨年より4000人増)にもなる。
[an error occurred while processing this directive]ただし、「がんの5年相対生存率」を見ると、1993〜96年には53.2%だったが、2003〜05年には58.6%に増加しており、医療の進歩によって、多くの人の命が救われていることがわかる。
がん患者は若い世代でも増加している
がんに罹患する人は増えたが、それは高齢者だけにあてはまることではない。もちろん65歳以上の高齢者がぐっと数字を延ばしていることはたしかだが、20〜64歳の就労可能年齢の患者数も増加しており、その割合は、がん患者全体の32.4%を占めるまでになっている(2008年)。
病気の進行度にもよるが、がんを発症したからといって、その治療のために仕事を辞めることは簡単ではない。これまで築いてきたキャリアは捨てられないし、治療にもお金がかかる。そこで、がんの治療をしながら、可能な限り仕事を続けるという選択をする人がほとんどだろう。
あなたの職場や取引先にいないだろうか、がんのために入院治療をしたのちに仕事に復帰したという人、あるいは定期的に抗がん剤を打ちながら仕事を続けている人が......。厚労省が「平成22年国民生活基礎調査」を基に特別集計したところ、このように「がんサバイバー(がん体験者)」で仕事を持ちながら通院している人は32.5万人(男性は14.4万人、女性は18.1万人)いる。